夢は世界標準へ!フラッシュサイト制作をもっと快適にかえる【注目クリエイター列伝】


インターネットの拡大と普及は、様々なネットサービスやコンテンツを生み出した。
現在我々が当たり前のように利用しているWebの裏には数々の優秀なクリエイターが誕生し、活躍しているのだ。

第1回は、フラッシュサイトの作成を劇的に改善した「Progression(プログレッション)」を開発した阿部貴弘(アベ タカヒロ)さんを紹介しよう。

■Progressionは、フラッシュサイトを劇的に変える?
最近Webでよく見かけるインターラクティブに動くサイトは、Flash、ActionScriptという技術を使って作られていることが多い。ところが、このFlash、ActionScriptは高度な技術が必要な上に、HTMLのページに比べて重いとか、ページ移動など、ユーザービリティがいまいちといわれてきた。

「Progression」は、フラッシュサイトのページ移動などの処理をスムーズかつ効率よく制作できる作成環境(フレームワーク)だ。Progressionを使うことでHTMLサイトを作るようにシンプルで柔軟性の高い作成ができるようになるという、フラッシュコンテンツ制作者にとっては、作業環境を劇的に変えることができるツールとして注目を集めているのだ。
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■Progressionは、どのようにして世に出たのか?
阿部さんは、「前職では自社のサービスを作成する業務についていたのですが、思うような成果にはならず退職しました。退社後、独自でWebコンテンツの作成を開始してみたのです。

ActionScript 2.0に比べて複雑化したActionScript 3.0環境では、アニメーション制作よりプログラミング作業が多くなり、作業効率も快適ではないと感じていたこともあり、最初の1か月で土台となるシステム環境を作り、次の1か月でコンテンツを作ろうと思っていたのです。

ところが、作っていて面白くなっちゃって、まるまる2か月土台作をすることになっちゃいまして、苦笑。」

阿部さんは、せっかく作成したのだからと、初版のProgressionを公開する。
2007年2月に着手してから2か月後の2007年4月に「Progression」はリリースされた。
公開後、フラッシュ制作者に好評だったことから、阿部さんは「Progression」の開発を続行することを決意する。

■なぜProgressionを作ったのか?
Progressionは、フラッシュサイトの制作環境を改善するフレームワーク、フラッシュサイト制作者にとってうれしい技術だが、どちらかといえば土台となる技術なだけ地味ともいえる。

なぜ、阿部さんは、Progressionの開発にとりくんだのだろうか。そこには、阿部さんの性格や嗜好があった。

阿部さんは、Progressionで「分業しないで、できる環境作り」を実現したかったという。
「フラッシュ環境は、どんどん複雑になってきたのです。最初フラッシュは、1〜3バージョンではアニメーション作成がメインでしたけど、バーション4以降はプログラムもできるようになります。それにともない作業環境は分業化してきたのです。
すべてに自分の目を届かせることができる環境を


分業化は、複数のクリエイターなどの共同作業となり大きなプロジェクトや複雑なシステムが実装できる反面、単独だからこそ生まれる発想を活かすことはできません。また、プログラム+デザインの双方を理解していないとスムーズな意識共有ができないので、意外と気を使いながらの作業となることも多いのです。」
と、分業化し高機能化した制作環境のメリットデメリットを阿部さんは語る。

今でも十分に若い阿部さんだが、若い時は映像関係に進みたかったそうで、映画監督のようにすべてに自分の目を届かせることができる環境へのこだわりもあったのかもしれない。

■Progressionのブレイク
Progressionのメリットは、ページとページをつなぐ2点をベースにして、すべてをつなぎ合わせることができる点だ。
ページ遷移を1つの枝として、枝をつなぎ合わせたり、外したり、組み替えたりできるだけでなく、組み替え後のパスが破綻しないで機能するため、仕様の変更や操作性向上のための変更にも素早く安心して対応できる。

そんなProgressionは、2007年4月に初版がリリースされた後、2008年3月にProgression バージョン2がリリースされる。
このバージョン2は、初版とはまったくの別ものだという。根本的に見直しをかけて、フルスクラッチされたもので、事実上、このバーション2がProgressionのデビューといってもよいそうだ。
そして、2008年9月にバーション3がリリースされる。

「バーション2で、使っていただける人が増え、バージョン3では、かなり認知度がアップしました。利用数も私の知る限りで700例をこえているようです。実際には、もっと利用されているようですけど…。」

阿部さんはいう「Progressionは、2画面以上のサイト構築で制作者を助けてくれます。2画面を移動するベース環境を組むだけでも21週間くらいかかることもありますが、Progressionであれば21時間くらいでできますので、コンテンツにより注力できるわけです。」

■Progressionを開発した阿部さんってどんな人?
ところで、注目されているProgressionを開発している阿部さん自身はどんな人なのだろう?

阿部さんの年齢は、なんと29歳。出身地は東京。

若い時は、映像(フイルム)指向、つまり映画少年だったそうだ。ところが、実際に映像の世界を覗いてみると、フイルムやカメラは高価で、断念せざるを得なかった。そこで、目に入ってきたのがコンピューターのCGやフラッシュアニメーションだ。これならお金も映画ほどかからず、自分でもできそうだと思った阿部さんは、ズルスズルとパソコンの世界へ入ることになったそうだ。
「やってみると、フラッシュの仕事をしないかというお誘いが増えてきて、元々凝り性だったこともあり、プログラムにまで手を出し始めて現在に至っています。一度、映像に進むか、ITのまま続けるかを悩んだこともありましたが、それはそれとしてフラッシュが楽しかったこともあって、結局ITに残ることになりました。」

■阿部さんのお仕事スタイル
阿部さん、いつもどのようなスタイルで仕事をしているのだろうか

「ガリガリ仕事しています。ご飯を食べるのも面倒になるタイプです(笑)。気がつくと1日なにも食べずに仕事しているなんてことも多いです。
好きな食事は…、早くで安い、吉○○の牛丼ですかね。よく、よく食べる食事としてあげるなと、まわりからもいわれるのですけど、早く食べられて仕事に戻れるもので、つい…。」と、なかなかガチンコな食生活を送っているようだ。
ご飯を食べるのも面倒になるタイプです 阿部貴弘 氏


そんな生活のデメリットを「急ぎが当たり前と見られていますので、常に時間がタイトな仕事がまわってくることですかねぇ。」と、笑いながら教えてくれた。

今ではすっかり、インドアな開発者の阿部さんだが、学生時代はバトミントン部に所属していたという。
「バトミントンはハードなんですよ。風が入ると駄目なので体育館は締め切りで、2階の窓も暗幕が閉じられているので、夏とかはサウナ状態。汗だくになって、上見上げてシャトル打っていました。
今では、ほとんど運動らしい運動してないけど…。」

■これからのProgression
現在、Progressionは無償で配布されている。有償での配布は考えてはいないという。しかし、サポートやカスタマイズなどの需要には、経費や保証も必要となる。そこで、法人としての株式会社 CLOQUE.を設立した。

「お仕事で使っていただいている方も多いのですが、保守や企業の作業環境など個別の対応には、やはり体制も必要となると思っています。また、法人化すれば、より開発に注力もできますし、もっと多くの人に利用していただきたいと思っています。」

最後のProgressionで変えたいことを聞いてみた。

阿部さんは、「Progressionを世界標準にしたいです。技術のハードルが高すぎると人の参入が減ってしまいます。
Progressionで新しい人が入りやすい環境にしていけたらうれしいですね。
現在は、PC環境だけですけど、今後はPCだけなく、Mobileやデジタルサイネージ端末などの環境でも提供できるようにしたいです。」と夢を語ってくれた。

■個人的な将来の夢は?
Progressionの業務とは別に、個人的な夢を聞いてみた。
「フレームワーク(Progression)がメインとなってきましたけど、通常のサイト作りもしたいのです。
クリエイティブ系のワークも再開したいと、実は今準備していて、『クリエイティブユニット kujakau』を公開したのです。」と、阿部さんは、どこまでも仕事の虫のようだ。

最後に阿部さんのポリシーというか、信条をお聞きした。

阿部「ゼロか100かですかね。やるものは徹底的に、やらないものはやらない。なんでもひとりでやりたいのです。やっぱり映像監督指向なのですかね(笑)。」

阿部貴弘のProgression初級講座
阿部貴弘のProgression中級講座

クリエイティブユニット kujaku サイト
続きはこちらProgression 公式サイト
株式会社 CLOQUE.

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