キャリアアップのために必要な準備とは何か - 転職コンサルタントが説くキャリアアップ -


転職をする目的とはなんだろうか。
給与などの待遇の改善もあるだろうが、スキルアップやキャリアアップを目指す人は多い。
しかし、一口にキャリアアップと言っても、どのようなキャリアを目指すかによっても大きく違ってくる。

IT業界で働くエンジニアのキャリアアップについて、転職コンサルティングのアクシスコンサルタントの転職コンサルタントに聞いてみよう。


■IT業界で働くエンジニアのキャリアアップの種類
まずは、 SE(システムエンジニア)などからだと、どのようなキャリアアップの道があるのだろうか。

アクシスコンサルティングのコンサルタント担当の伊藤文隆氏は、
「SEの一般的なキャリアパスとしては、PM(プロジェクトマネージャ)、アーキテクト、ITコンサルタントなどです。」

PMとは、プロジェクトの計画と実行に責任を持つ職務で、成果物の定義、費用算出、スケジュール計画・管理、仕様の取りまとめをしてプロジェクトを遂行させていく職務だ。

アーキテクトとは、プログラマ、システムエンジニアの上級職で、システム全体のグランドデザイン設計や、アプリケーションフレームワークの設計を行う職種。

ITコンサルタントは、企業の抱える経営課題、業務課題を解決する方策を提供する職務で、近年ではITシステムの提案や導入業務に欠かせない存在である。

■PMを目指すには
システムエンジニア(SE)が目指す職種として多いのが、PMだ。

PMに進める資質や傾向などを、人材サービス事業部シニアアカウントセールス 田畑孝氏伊藤氏に聞いてみた。
「まずは、システム開発の経験です。SEとしてしっかりとシステム開発経験を積みながら着実にステップアップしてきた方は、上の立場になった際でも開発側の視点でメンバーへの指示・管理をすることができるだけでなく、顧客側にも技術的な視点で折衝・提案・説明が行えるため、重要な経験・スキルとされています。
人材サービス事業部シニアアカウントセールス 田畑孝氏

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次に、エンドユーザーとの折衝ができる人です。すばらしい技術力や業務知識を持った方でも、顧客との折衝ができなければ、PMとして活躍することは難しいのです。いわゆる一次請けと言われる企業で、エンドユーザーからの厳しい要望を解決し、切り抜けてきた折衝経験・スキルはとても重要となります。

最後は専門とする業界・業種を持っていることが強みになります。製造業界系、web業界系、金融業界系、通信業界系など、多くの業界・業種のプロジェクトを渡り歩いてこられたエンジニアの方もいますが、PMへのキャリアアップではある程度、専門特化した経験・ノウハウが必要となるので、専門とする業界・業種を作っておくことが必要になると思います。」

■ITアーキテクトを目指すには
ITアーキテクトへのキャリアアップには、職場環境も重要な要素となると言う。

そのあたりを伊藤氏に聞いてみた。
「ITアーキテクトを目指すには、自分がITアーキテクトに進むために適した環境にいるかが大事な要素となります。例えば一般的なITアーキテクトはシステム全体のグランドデザイン、フレームワークを設計することが要求されるので、特にインフラの経験・知識が必要とされると言われますので、インフラ設計やインフラ運用などのプロジェクトで経験を積んでいくことが重要になってきます。

また、常に新しい技術が誕生する業界ですので、資質面ではやはり、新しい技術への探究心や技術習得への意欲や努力は不可欠となります。」

この職種を目指す場合は、インフラ技術の経験・知識と、技術へのたゆまぬ探究心が重要とのことだ。

■コンサルタントを目指すには
アクシスコンサルティング 伊藤文隆氏

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コンサルタントへの転職は狭き門ですが、と前置きされながら伊藤氏は解説してくれた。
「ITコンサルタントの資質や応募要件は、PMを目指す人と基本的に変わりません。
ただ、このシステムは果たして必要かどうの判断を要求されるビジネス視点でのプロジェクトも増えるため、一定水準のビジネスリテラシーや論理的思考は必要ですね。一般的にはITコンサルタントは俯瞰的な視点でビジネスとITを繋げていく仕事になります。」

「技術面ではシステム開発の上流工程経験は必須で、大規模プロジェクトの経験があると更にマッチします。上流工程の経験がない方は現職で上流の経験を積まれるか、その環境が現職で無いようであれば転職を検討するのもひとつの手段かもしれません。ただ、現職で上流工程のキャリアがあるのならば、まずは現職で上を目指す事をおすすめします。
ITコンサルタントは、精神面ではチャレンジ精神があり困難にも立ち向かえるポジティブシンキングが求められますので精神的にもタフな方が向いています。」

一方、経営・戦略コンサルタントに求められる人材像は少し異なるそうだ。
「戦略・経営コンサルタントを目指す上で、まず求められるのは論理的思考力です。経営者の課題をヒアリングして解決案していく仕事では、問題点や課題が明確になっているケースは少ないのです。仮説を繰り返して課題の根幹を見つけ出し、解決案を提示していくためには論理的思考が求められのです。

例えば大手自動車メーカーの経営戦略のプロジェクトがあったとします。自動車業界やその会社については経営者や社員のほうがコンサルタントより良く知っていますよね。

では、なぜコンサルタントが必要なのか?
それはコンサルタントは、“知恵”というソリューションを提供できるからです。知識ではなく、知恵というところが大きなポイントなのです。

スキル的には事業企画や経営企画に携わっていた人やマーケティング・人事など部門横断的な業務を経験されてきた方が最も戦略・経営コンサルタントに近いと思います。経験職種よりはポテンシャルを重視しますので、幅広い職種・業種からの応募が可能です。ただ学歴は国内外の有名大学卒業であることが前提です。コンサルティング未経験の場合、年齢は30代前半までがひとつの目安になります。」

また伊藤氏によると、コンサルタントは長期にわたって業務に就くケースは少ないと言う。
「短期間でキャリアや深い経験が積める反面、強い体力と精神力が要求されます。コンサルタントの仕事は、激務でもあるので長期にわたって就業する方は少ないのです。何のためにコンサルタントになるのか? そこをしっかり理解してから応募する事をおすすめします。」

■いつ目標のキャリアを目指せばいいのか?
最初から目指すキャリアを持っていればいいのだろうが、状況の移り変わりや変化が早いIT・コンサルティング業界では、そうそう早期から将来のキャリアを想定できるかと言えば、難しいだろう。

では、どのタイミングで将来の仕事や職種を選択していけばいいのだろうか。

田畑氏も伊藤氏も、この質問には、同じ回答を返してくれた。
「25歳から30歳くらいで、自分の先の職種を意識はできても、決定できている人は少ないケースが多いです。多くの人が、30歳くらいまでの経験や職場環境をふまえて、30歳から35歳くらいを分岐点として自分の将来の方向を選択しているケースが多いですね。逆を言えば、そうした環境の職場に20歳代で在籍している必要があります。」

また、やりたい仕事とできる仕事の違いを見極めることも大事だと、二人は説く。
「転職したからといってやりたい仕事に就けるとは限りません。それとは逆に、自分の能力を発揮できるキャリアが現在の職場に備わっている可能性もあります。自分の現在のスキルと今後のキャリアを見極めてキャリアアップのチャンスを迎えたときに、正しい選択ができるのだと思います。」

転職やキャリアアップのチャンスの波は、常にやってくると言う。シンプルなことだが新しい技術の習得や業務での経験値を積み上げることがキャリアアップの道を広げるということなのかもしれない。

キャリアアップにも一芸に秀でた人材が強いとされることは、興味深い意見として印象が残った。

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