ドコモユーザーがiPhoneを使える日はくるのか?【世界のモバイル】


Appleから待望の新製品「iPhone 3G S」が発表された。今月には日本を始め各国で販売が開始される予定だ。「iPhone 3G S」は動作速度と機能が大きくパワーアップされており現行機種のユーザーにとっても気になる製品だろう。この新型iPhone 3G Sのアメリカでの価格は16GB版が199ドル、32GB版が299ドル。新製品の発売に伴い既存のiPhone 3Gの8GBは99ドルと大きく値下げされた。いずれも魅力的な価格だが、この価格はあくまでも「新規契約」時のものだ。現行品を使っているユーザーの多くは通信事業者との2年契約期間中であるため、この価格で買い増しをすることはできない。

日本でも「買い増しか、別途新規契約して回線を寝かすか、どちらが得か」という話が持ち上がっているように、海外でもiPhone 3G Sをどのように買うかは既存ユーザーにとって頭の痛い問題になっている。アメリカのAT&TのiPhone 3G S買い増し価格は16GBが399ドル、32GB版が499ドルになるという。すなわち新規価格より200ドル上乗せということだ。この価格差が高いか安いかは一概に判断できないが、iPhoneが家電製品のように単体で購入できないことが買い替え/買い増ししたいユーザーの悩みを増大させていることは間違いない。

初代のiPhoneはAppleが通信事業者とレべニューシェアを行うビジネスモデルを採用したこともあり、各国でアメリカ式の「事業者販売」方式が採用された。しかし2代目となる現行のiPhone 3Gからは収益をApp StoreなどAppleが直接ユーザーから得るモデルへと方向転換が図られている。すなわち現時点では特定通信事業者から独占販売される必然性は薄れてきており、端末単体での販売も考慮してもよい時期に差し掛かっているのかもしれない。

AppleはこれまでMacやiPodなど単体で利用できる製品を作ってきた会社だ。一方、携帯電話製品はiPhoneがはじめての製品となるわけだが、携帯電話は単体では利用できず、通信事業者との契約が必要となる製品である。Appleはこれまで前述したレベニューシェアを導入するなど「事業者販売」というアメリカ式の販売モデルを全世界に導入してきたが、この方式は一部の国では拒絶されている。

たとえば香港ではHutchisonが通信事業者としてiPhoneの独占販売を行っているが、別ルートとしてAppleストア香港や街中の家電店で単体のiPhoneが販売されている。しかもいずれの製品もSIMロックの無い製品だ。こうした背景には香港の消費者がSIMロック製品を敬遠しており、事業者専用端末においても好まれないという状況があるからだ。SIMロックフリーのiPhone 3Gは定価が8GB版で700ドル、16GB版で800ドルと高価になるわけだが、香港での売れ行きは好調だ。
香港では家電店でiPhoneの単体売りが行われている


すなわちアメリカの販売方式が通用しない国が現実にあり、しかもどの通信事業者のSIMカードも利用できる「SIMロックフリー」のiPhoneが単体で販売されはじめている以上、「特定の事業者だけが販売する」という既存のモデルをどの国でも展開する方法はやがて矛盾が生じることになるだろう。実際、香港で販売されているiPhoneは香港以外の諸外国に転売されているものも多いという。

ヨーロッパでは事業者がメーカー端末を自由に価格設定し、端末価格に応じた基本料金プランや契約期間を複数提示している。すなわち消費者側に価格の選択肢が与えられているのだ。iPhoneも販売国によっては今後現地に合わせた販売モデルの導入が求められることにだろう。そして今後販売台数を増やしていくならば単体販売という選択しも必要となりそうだ。なぜなら特定の事業者のみの販売であれば、その事業者の加入者以上の販売台数は見込めないからである。香港のようにAppleストアからの単体販売が他国でも展開される可能性もあるだろう。

「独占販売事業者はSIMロックありで安価に販売」、一方「AppleストアからはMacやiPodのように定価での単体販売(SIMロック無し)」といった併売もされるようになれば、今よりも多くの消費者がiPhoneの世界を体験することができるようになる。日本でもAppleがiPhone端末の単体売りを決断すれば、ドコモからiPhoneが販売されなくともドコモユーザーが自由にiPhoneを購入・利用できる、そんな時代が訪れるのかもしれない。

山根康宏
著者サイト「山根康宏WEBサイト」

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