遠隔地からPCの電源をオン/オフ 「vPro」が変える安全【デジタルネイティブと企業】


「vPro(ヴィープロ)」というキーワードをご存じだろうか。
インテルが提唱する「vPro」は、パソコンにおける環境問題とコスト削減、セキュリティを大きく改善するテクノロジーだ。

vProテクノロジーは、搭載したパソコンで遠隔操作による電源管理、低消費電力によるコスト削減、遠隔操作によるセキュリティ管理をハードウェアレベルで実現できる技術として期待されており、既に多くにパソコンメーカーが導入を進めている。

2009年3月3日、都内の大塚商会セミナールームにおいて「パソコンメーカー4社 大塚商会に集合!!」と題した、インテルvPro技術を利用した技術セミナーが開催された。

セミナーでは、インテルによる「vProテクノロジー」の紹介をはじめ、「vProテクノロジー」を仕様した遠隔操作でのサポート、セキュリティ、運用管理ツール、NEC・レノボ・富士通・東芝からはvPro搭載パソコンの紹介と、コスト削減、環境問題への取り組みが披露された。

■vProは省電力で高性能 - インテル
環境問題への取り組み課題とされる中、IT企業においてもCO2削減のための取り組みが必要となっている。
IT企業における電力消費は、サーバー、ネットワーク、デスクのパソコンがそれぞれ約3割をしめており、パソコンの消費電力が意外に大きい。

インテルでも、Pentium D プロセッサー 945からCore 2 Duoプロセッサー E6550に変更するだけで約4割の電力消費を削減でき、さらにvProテクノロジーのCore 2 DuoプロセッサーT7700に変更すれば17分の1まで削減できるだけでなく、処理速度の面でも高速となる。Pentium D、Core 2 Duo、Core 2 Duo/vProの各マシンを並べ、Excelのマクロを実行するデモでは、vProマシンが他を圧倒して処理を終了し、消費電力も小さかった。

vProテクノロジーには、3つの大きな特徴がある。

1.検出
パソコンの電源がオフの状態であったでも、ネットワーク上から探しだし、パソコンのメーカーや機種名、メモリー、ハードディスクなどの情報を遠隔地から確認することができる。

2.操作
遠隔地からパソコンの電源をオン/オフ、リセット、BIOS設定までも行うことができる。コンセントさえ繋がっていれば、微弱な電力でもチップセットに組み込まれたvProテクノロジーで電源を入れることができるからだ。
また、ハードウェアベースで管理できるため、OSがハングアップなどの停止状態でも、電源のオン/オフ、リセットが可能なのも大きな特徴だ。

vProテクノロジーを使えば、遠隔地のパソコンの電源をリモートでオフにできる

3.保護
ウィルスの入ったパソコンを発見した場合、遠隔操作によりネットワークへの接続を遮断して、ウィルスがネットワークに広まるのを未然に防ぐことができる。また、サーバ側から診断プログラムなどをインストールすることも可能だ。

ウイルスが入ったパソコンをネットワークからリモートで隔離できる

vProテクノロジーは、「省電力で高性能」「リモート操作で電源だけでなく、BIOSも操作」「ネットワークのセキュリティ強化」という、これまでは不可能だった3つの特徴を実現している。

■vProを活用する遠隔管理システム
vProテクノジーを利用して、様々な管理が可能となる。

●遠隔地からのサポートで、コストと効率を大幅にアップ - RSup&RS Review 大塚商会
大塚商会は、遠隔地からのサポートシステム「RSup&RemoteRS Review」を紹介した。

RSupは、遠隔地でのトラブルに対して現地に赴くのではなく、vProテクノロジーを活かして状況を診断、適切な処理を行えるシステムだ。
遠隔地のトラブルでは、移動にかかる時間とコストが、トラブル解決経費のほとんどをしめている上に、サポートエンジニアが現地到着してから対応が始まるので解決までの時間がかかる。
一方、サーバーからトラブルのパソコンを診断し、しかるべき対処を行えば、大幅なコストが削減できるだけでなく、ハード修理などの手配もはるかに早く対応することができる。また、より優秀なエンジニアの診断をうけられるという点でもメリットは大きい。

Remote Reviewは、休日などでの社内トラブルの際に、スマートフォンなどのモバイル端末を利用して遠隔地からトラブル対処を行うシステムだ。休日に出社といった人件費やエンジニアの負荷を軽減できる。

デモでは、スマートフォンを使って、vPro搭載パソコンの電源のオン/オフを実際に再現した。

●情報は防止だけではなく、事故後に漏らさないシステムを - トラストデリート2.0 ワンビ
ワンビは、以前として減少していない情報漏えいの現実をふまえ、防止対策だけではなく、パソコンの盗難・紛失といった事故後の対応が可能な「トラストデリート2.0」を紹介した。

ワンビ株式会社 代表取締役社長 加藤 貴 氏

加藤氏は、トラストデリートの遠隔操作でのデータ漏えいプロセスを解説した。
1.パソコン内のデータを不可視状態にすることで、盗難・紛失にあった場合でも簡単にデータを読ませない。
2.データ取得のためネットに繋げば、サーバからの削除指令をうけ、パソコン内データが一気に削除される。
3.ネットワークに繋がれない場合には、セットした時限削除機能でデータを削除できる。
不可視や削除は、フォルダ単位でも設定することができて、テンプレートで用途にあわせた設定が可能だ。

また、vProに対応した「トラストデリート2.0」では、これまで電源が入ってない場合、サーバから遠隔操作できないという弱点も、解決したと機能がさらに強化されと強調した。

デモでは、電源オフのパソコンの電源を入れデータ削除してみせた。


●集中管理により安全とコスト削減 - クオリティ
クオリティは、vPro対応のクライアント管理ソフト「QAW/QND Plus」を紹介した。
vProを利用し、複数の担当者が複数のクライアントの管理を運用から保守までの効率化を実現できることを紹介した。

vProに対応し、遠隔からの管理や操作でコストと安全性を強化できるソフトウェア紹介の後は、NEC・レノボ・富士通・東芝のパソコンメーカーから、すでにVPro搭載パソコンの紹介と環境への取り組みが紹介された。

Vproパソコンは各社とも、まだ全機種搭載には至っていないが、高性能モデルやモバイルモデルを中心に、予想以上に早く対応が進んでいるという印象だ。ミドルレンジのビジネスモデルに搭載されるようになれば、企業の環境化対策やセキュリティ対策が大きく前進するだろう。

機密は漏れる前に消せ! 事故ゼロの幻想を棄てる企業防衛【デジタルネイティブと企業】

ワンビ株式会社
株式会社大塚商会

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