機密は漏れる前に消せ! 事故ゼロの幻想を棄てる企業防衛【デジタルネイティブと企業】


今や多くの企業ではIT化は進み、社内ネットワークなどにより業務はシステム管理されている。企業が保持する膨大なデータは一括で管理され整理され必要に応じて機能的に利用できるようになった反面、データの漏えいや情報流出は企業にこれまで以上の大きなダメージをあたえる問題となっている。

現在、企業が最も脅威と意識しているリスクは情報漏えいとの調査結果もでている。
企業が最も恐れるリスクは「情報漏えい」――ワンビシ調べ - ITmedia

どの企業もハッキング行為など外部からの攻撃に対しては複数の防衛システムを導入するなどの対策が進んでいるが、社員が利用するパソコンの盗難や紛失に伴う情報漏えいや情報流出は後を絶たず、人的な情報の漏えい・流出対策は未だに解決されていない。

■セキュリティのアキレス腱 -解決できない人的リスク-
企業では情報の漏えい・流出に対して、外部からの侵入を防ぐシステムやセキュリティプログラムを導入し対処しているが、人のミスや心理につけこみ秘密情報を入手するソーシャル・エンジニアリングや、社内情報・顧客情報が記録されたパソコンの盗難・紛失からの情報漏えい・流出する問題には決定的な解決策とはなっていないのが現状だ。

ノートパソコンの場合、企業の情報を社内や個人のパソコンに記録せず、企業内のパソコンを社外に持ち出さなければ移送中の盗難・紛失での漏えいは防ぐことができるが、社外でも顧客対応などが求められる業種では情報を記録したパソコンの持ち出しを禁止できないのが実情だ。また、デスクトップパソコンであっても、社内や地方・海外営業所の盗難事故にあった場合の情報漏えいには手の打ちようがない。

データはサーバ上に記録してローカルではデータを持ち歩かないシンクライアントは、こうしたリスクに有効な手段として期待されているが、未だに導入は進んでいない。

■情報漏えい・流出対策の最終ラインとは
日本では人的な事故を防止・抑止するための対策に多くの時間や経費をかける傾向が強い反面、事故が起きてからの対応策や対処マニュアルなどは不十分なケースが多いことは以前から指摘されている。つまり実際にパソコンが盗難・紛失さないように努力はするが、実際に盗難・紛失された際に機密情報の漏えい・流出を防ぐ最終の安全対策が用意されていないことが問題としてあるわけだ。

こうした問題に対し、KDDIがパソコン内のデータを遠隔操作で消去するサービスを開始した。
同サービスは、auのデータ通信カードもしくはデータ通信モジュール搭載のパソコンに専用ソフトをインストールしておき、もしパソコンが盗難・紛失された際には、KDDIの管理サーバによる指示でデータを削除できるシステムだ。管理サーバ側で削除するデータの指定もできるほか、通信ができない場合にも配慮して一定時間のアクセスがない場合、強制的にデータ通信を起動し、消去命令を受け取る機能も搭載されている。
紛失したPCのデータを遠隔から消去,KDDIがサービス開始 - ITPro

KDDIのサービスは、盗難・紛失をゼロにして防ぐという思考ではなく、盗難・紛失はゼロにはできないという認識を受け入れ、盗難・紛失時に情報の漏えいを防ぐ対策を用意するという発想だ。

■ネット時代に求められる遠隔消去システム「トラストデリート」
インターネット時代には、漏えいしたデータはあっという間にネットを通じて広がってしまう。個人を管理してもパソコンの盗難・紛失から情報が漏えいすれば、最悪ネットを通して拡散して企業にとって大きなダメージとなる。パソコンの盗難・紛失を防ぐ努力や対策は必要だが、盗難・紛失したパソコンのデータを遠隔消去し、抜き出されないようにする方法は効果的なセキュリティ対策の一つであろう。

データの遠隔消去をパッケージやASPサービスで提供しているワンビ株式会社は起業まもない会社である。同社が開発した「トラストデリート(TRUST DELETE)」は、パソコンの盗難・紛失といった事故はゼロにはできないという、これまでと違った発想と認識から生み出されたシステムである。
完全にゼロにはできない事故という現実とインターネット時代の危険性から目を背けない姿勢は、インターネット世代にも共通した意識とも近く興味深い。
遠隔消去システム「トラストデリート」

生まれたときからインターネットのある環境にある世代にとってネットは危険も現実に存在するものと認識されており、いかに危険から身を守る方法も重要視する。決して、ネットの危険を撲滅することだけには目を奪われないバランス感覚が彼らには備わっているからだ。

ワンビ株式会社の加藤氏は、「トラストデリートは万が一の事故のための保険のようなものだ」と言い切り、「パソコンの負担にならないほどリソースも小さく、普段はなにもしないツールですが、事故があったときに大切な情報を消去することで守る最終手段のひとつとなります」とも語っている。
また、当初は小規模企業への導入を想定してした「トラストデリート」が、実際は様々なセキュリティ対策を導入した大手企業などで、最終の情報防衛ラインとして導入されはじめているという。

「トラストデリート」は、3月3日、大塚商会の主催による無料セミナーでも紹介される予定だ。同セミナーでは、インテル「vPro」テクノロジーの概要と4メーカーのvPro搭載パソコンでの最新の情報漏えい対策、資産管理の向上などがデモンストレーションされる。

パソコンメーカー4社 大塚商会に集合!! - 無料セミナー
ワンビ株式会社


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