あなたのお金が返ってくる? 過払い金問題の処方箋
お金を借りたのだから、返さなければいけないのは当たり前なのだが、なにか納得がいかない。
こうした思いを抱く人は、何年もちゃんと返済し続けている真面目な人に多い。
借金の返済金は、まず利息の支払いに優先して充てられるため、利率が高い場合はいつまでたっても元本が思うように減らず、冒頭のような「返しても返しても、借金が減らない」という感覚に陥ってしまうのだ。
しかし、そんな悩みや感覚を少しは軽減できる方法があるのをご存じだろうか。
払いすぎた利息を取り返すことができるらしいのだ。
消費者金融業者から長くお金を借りていると、知らないうちに払う必要額以上の金額を払いすぎてしまう「過払い」状態となっている場合があり、その場合は、過払い金を取り返すことができるというのだ。
過払いとなるケースは、個人の生活費や事業の運転資金として長く利用している場合などが当てはまると言われている。
知らないのと知っているのとでは大きな違いが出る過払い問題にスポットをあててみよう。
■過払い金が発生する仕組みはこうだ。
消費者金融からお金を借りる際の金利は実は2種類ある。出資法の年20〜29.2%(金額によって変動する)と、利息制限法の年15〜20%だ。実際には、出資法の年20〜29.2%を適用する場合が多く、この金利の差をグレーゾーン金利という。
ところが、2006年、最高裁判決で利息制限法の利率(年15〜20%)を採用することが決まり、それ以上の利率は違法ということになった。つまり、出資法の年20〜29.2%の差額は払わなくても良いし、取り返すこともできるようになったというわけだ。
これを現実のケースに当てはめてみてみよう。
100万円を出資法の利率の29%で5年間借りて返済したとすると、合計245万円を返済したことになる。
以前はこれで問題はなかったのだが、2006年に出た判決によって、利率は利息制限法の18%が採用されることになる。
したがって、これに基づくと18%で上記と同じ条件で100万円を借りた場合の返済額は190万円となるので、55万円も多く返済していることになるのだ。
この55万円を「過払い金」といい、消費者金融会社に対して返済を請求できるのだ。
当然、返済の途中でも、正しい利率で計算しなおしてみると(引き直し計算という)完済している場合も当然でてくる。その場合も、取り返すことができるのだ。
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■払い終わってしまった場合は、泣き寝入り?
既に払い終わってしまっている場合は、どうなるのか。過払い金は取り戻せないのか?
必ずしも、泣き寝入りとなるケースばかりではない。過払い金の返還には10年の消滅時効というものがあって、最後の返済から10年以内であれば、返還を請求することができるのだ。
■行動は速い方が……
いくら完済後でも過払い金が請求できるからといって安心していてはいけない。
消費者金融各社は、グレーゾーン金利の廃止により売上が上がらないうえ、最近の金融危機の影響で過払い金の返還に回す資金が少なくなっていくことも予想されるからだ。
つまり、請求できても返還する消費者金融会社に資金がなければ、元も子もなくなるというわけなのだ。
過払い金が請求できる人は、すばやく行動を起こしたほうが良いだろう。
■酷い取立て請求も止めることができる
もし、過払い請求が認められそうで、弁護士・司法書士が受任した場合、それ以降の取立てを止めることができるようだ。
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■過払い金の請求は、どこに相談すればいいの?
実際に過払い金の請求をするには、弁護士・司法書士に相談するのが良い。弁護士・司法書士への報酬などが必要となるが、面倒な時間と手間、トラブルを省くことができる。
過払い金返還請求の「過払いナビ」のように無料相談を受け付けているサイトや最寄りの弁護士会などでも相談を受けつけているので、一度話しをしてみてはどうだろう。
自分の手で請求したいという人は、インターネットなどで検索して調べることもできる。インターネットなどを利用して自身で対処する場合は、言うまでもないが自己責任となる。
・過払い金返還請求の「過払いナビ」