爆速パソコンの秘密、インテルの次世代CPU「Core i7」【最新ハイテク講座】


ゲームパソコンに代表されるハイエンドデスクトップパソコンの世界に大きな変革の波が押し寄せた。インテルが2008年11月18日に発表した次世代CPU「Core i7」をCPUに採用したパソコンがショップブランドのパソコンを中心に軒並み増えてきているのだ。
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「Core i7」は“インテルの新兵器”とも呼ばれているCPUでブランド名も刷新されているところからも、同社の勝負CPUである点は容易に察しがつくであろう。
いったいどこが今までのCPUよりも優れているのか。新しいCPUであるだけにご存じでない人もまだ多いであろう。

そこで今回は普通のパソコンを爆速パソコンに変えるインテルの次世代CPU「Core i7」についてみてみよう。


■Core i7を支える技術
「Core i7」はどのような特徴を持ったCPUなのだろうか。「Core i7」の技術と、そのメリットを簡単にまとめてみた。

●Core i7で何がかわるのか
「Core i7」とは、インテルの新しいCPUブランドのひとつで、開発コード「Nehalem(ネハーレン)」と呼ばれていた新マイクロアーキテクチャーだ。

最大の特徴はCPUコアとそれ以外の部分(アンコア)をモジュール化することにより、利用目的に応じたバリエーションを用意できる点だ。「Core i7」は1つのダイに4つのCPUコアを内蔵しており、デュアルコアのダイを2つ内蔵する通称“なんちゃってクアッドコア”の「Core 2 Quad」などとは基本的に異なるコア構造をしている。

従来はチップセットに内蔵されていたメモリーコントローラもCPUのアンコアに内蔵され、DDR3メモリーを3枚使用した「トリプルチャンネル駆動」への対応で、より快適なメモリーアクセスが可能となっている。


●疑似8コアCPUとして動作 - ハイパースレッディング
「Core i7」では、Pentium 4に採用されていたハイパースレッディング(HT)に再び対応した点も見逃せない。
ハイパースレッディングとは、CPU内のレジスタやパイプラインの空き時間を有効利用することで、1つのCPUを2つのCPUに見せ掛ける技術だ。マルチタスクのCPU版だと思えば、わかりやすいだろう。

「Core i7」はもともと4コアのCPUだが、ハイパースレッディングによりパソコンのOS上では8コアのCPUとして認識されるので、マルチコア対応のアプリケーションにおいては、同じ動作クロック周波数において従来の4コアCPUに比べ高いパフォーマンスが期待できる。


●3次キャッシュを内蔵
「Core i7」の目玉が3次キャッシュだ。「Core i7」はCPUコアごとに32Kバイトの1次キャッシュと256Kバイトの2次キャッシュを内蔵したうえ、アンコアにすべてのCPUコアで共有する8Mバイトの3次キャッシュを内蔵する。

大容量の3次キャッシュがCPUコアとメモリーモジュールとの間にあるおかげで、メモリーモジュールへのアクセスが軽減し、そのぶんパフォーマンスが向上する訳だ。


●オーバークロックを自動化 - ターボブースト
「Core i7」で面白い機能が「ターボブースト」だ。マルチコア非対応のアプリケーションでは、停止中のCPUコアに使用する電力を稼働中のCPUコアにまわすことで、従来のCPUに比べて安全にオーバークロックすることができる。

マルチコアに対応のアプリケーションであっても、各CPUコアに掛かる負荷が低ければ、すべてのCPUコアをオーバークロックの状態にできる。

ターボブーストの技術により、既存のアプリケーションやゲームがより高速に動作する可能性がある訳だ。


●どれぐらいのパフォーマンスが期待できるか
「Core i7」が高性能であることは理解できたが、デスクトップパソコンが「Core i7」を採用すると、どれぐらいのパフォーマンスが規定できるのだろうか。

パフォーマンスはプロセッサのクラスやパソコン環境で違ってくるが、インテルによると、従来の高性能プロセッサー「Core 2 Extreme CX9770」に比べて最大40%以上高速であるという。
インテル、ハイエンドデスクトップPC向けCPUの新プロセッサー「Core i7」を正式発表 - RBB TODAY

「Core i7」は正式発表から1週間しか経っていないが、アキバでは解禁日に深夜発売イベントが開催されるなど、ハイエンドパソコンを好む人が多い自作パソコンユーザーにも注目されているCPUだ。
【フォトレポート】「Core i7」秋葉原地区深夜販売イベントの様子 - アキバ総研

インテルは2008年8月19日(現地時間)、米国サンフランシスコにおいて「Intel Developer Forum Fall 2008(IDF2008)」を開催したが、その中でノートパソコン向けの「Core i7」のデモンストレーションを行っている。

「Core i7」は従来のCPUよりも高いパフォーマンスが得られることから、デスクトップパソコンに限らずノートパソコンの世界でも今後、ハイエンドクラスのパソコンは「Core i7」を搭載してくるものと推察される。


参考:
インテル Core i7 プロセッサー - インテル
インテル Core i7 プロセッサー 製品概要(英文/PDF形式) - インテル
Next-Generation Intel PC Chips to Carry Intel Core Name(英文) - インテル
インテル - 企業サイト

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