歌を忘れたカナリアに歌を教える「鳥オルガン」【大人の物欲 08夏特集】


カナリアの美しい歌声は古くから人々を魅了してきた。カナリアの歌声は、童話「うたをわすれたカナリア」にもなっている。また、カナリアの愛好家は自分の好きな曲をカナリアに歌わせるために、実にさまざまな方法を使っていたそうだ。

今回製作する「鳥オルガン」も、そんなカナリアに歌を教える道具のひとつだ。

■鳥オルガンの歴史とカナリア
「鳥オルガン」とは、そもそも何なのだろう、そして誰が作ったのだろうか。またカナリアは本当に歌を忘れるのだろうか。考えてみると、いろいろ疑問もわいてきた。

●世界最初の鳥オルガンは?
「鳥オルガン」は鳥に歌を教えるための道具として18世紀にヨーロッパで使用されていたそうだ。カナリアはフランス語で「Serinette(セリネット)」と呼ばれることから、カナリアに歌を教えるための「鳥オルガン」も「セリネット」と呼ばれている。

いつ誰が世界で初めての「鳥オルガン」を作ったのか?

世界初の「鳥オルガン」には諸説あり実際のところわからないようだが、18世紀のフランスではすでに「鳥オルガン」が存在していたようで、パリ音楽博物館には当時製作された「鳥オルガン」が保管されている。

鳥オルガンはカナリア以外の鳥にも使われたようだ。オウム(Perroquet)に歌を教える鳥オルガン「Perroquet(ペロケット)」や、クロウタドリ(Merle)用の「Merle(メルリーヌ)」と呼ばれる鳥オルガンもあったようだ。


●鳥オルガンで歌を教えられるのか?
ところで、鳥オルガンでカナリアに歌を教えることができるのだろうか? 学研では実際に鳥オルガンの歌をカナリアに聞かせて教えられるかを実験し、その模様を動画で配信している。
鳥オルガンの音を鳥に聴かせてみました - 学研

カナリアは鳥オルガンの楽曲をそのまま真似るわけではないが、かなり元の歌に近い音階でうたっているのがわかる。毎日繰り返して鳥オルガンの音を聞かせれば、より正確なメロディーで歌をうたってくれるだろう。


●カナリアは本当に歌を忘れる?
西條八十氏が作曲した童謡「かなりあ」の歌詞にあるようにカナリアは本当に歌を忘れる鳥として有名だ。人間が言葉を話せるようになるのは、赤ん坊のときに周りの人の言葉を聞いて学習するからだという。鳥の場合も同じで、ある期間に正しく歌を覚えないと変な歌になってしまうのだ。

ところで、カナリアは、なぜ歌を覚えるのか? そしてなぜ忘れるのかご存じだろうか?
実は、カナリアの歌には、ちゃんとしたメカニズムがあるのだ。

カナリアは春になると生殖活動に入る。この時期に雄のカナリアは歌をうために脳の中枢が2倍ほど大きくなり、雌を引きつけるために歌を覚えるのだ。夫婦関係が成立すると、雄カナリアの脳は元の状態に戻り、次の春がくるまで本当に歌を忘れてしまうというわけだ。


■「鳥オルガン」の製作に挑戦
大人の科学「鳥オルガン」は、同シリーズの付録の中でも部品点数が少なく、詳細な組立マニュアルが用意されているので、ドライバーを1本用意すれば、誰でも30分ほどで組み立てられるだろう。
写真1「手回し鳥オルガン」の中身写真2 大人の科学「手回し鳥オルガン」
写真1「手回し鳥オルガン」の中身写真2 大人の科学「手回し鳥オルガン」


●作ってみよう
製作する「鳥オルガン」は、ハンドルを手でまわしてピストンを上下に動かし、そのピストンから送られた空気がパイプ(笛)に送られ、音が鳴る仕組みだ。ギアのかみ合う音やピストンが上下する音が大きいとせっかくのメロディーが台無しになってしまうので、ギアの軸と穴、ギア同士がかみ合う部分、ピストンが上下するときに接触するシリンダーの側面などの部分には、模型用グリスやサラダ油などの潤滑油を塗るようにする。
写真3 ギアを組み立てた状態写真4 ピストンを組み立てた状態
写真3 ギアを組み立てた状態写真4 ピストンを組み立てた状態

製作時の注意だが、付属のネジはプラスチックに溝を刻みながらネジ留めするネジなので、JIS規格No.1のドライバーが最適だ。ネジ留めのコツとしては、押す力が7割、残り3割でネジを回すように心掛けると、うまくネジ留めができる。
写真5 パイプを組み立てた状態写真6 完成した「鳥オルガン」
写真5 パイプを組み立てた状態写真6 完成した「鳥オルガン」


●鳴らしてみよう
付属のチューニングカードにパンチ穴を入れたら、そのカードを「鳥オルガン」の差し込み口に入れてハンドルを回してみよう。パンチカードの穴から空気が送られてまるで鳥が歌を歌うような音が鳴るはずだ。
音のチューニングは、パイプ(笛)に差し込むウレタンパッドで調整する。音を高くしたいときはウレタンパッドを少し差し込み、逆に音を低くしたい場合にはウレタンパッドを少し引き抜くようにする。

チューニングに問題がなければ、チューニングカードを楽曲のカードに差し替えてみよう。ピヨピヨピヨという可愛い音で音楽が奏でられるはずだ。
写真7 楽曲用パンチカード写真8 楽曲を演奏している状態
写真7 楽曲用パンチカード写真8 楽曲を演奏している状態

本付録には「AMAZING GRACE(アメージング・グレース)」「もみじ」「小鳥のエチュード」「故郷の人」「旅愁」「たなばたさま」「とんでったバナナ」という7曲の楽曲用パンチカードが用意されているが、楽譜が読めてパソコンが使えれば、「Final NotePad」というパソコンソフトを使用することで、「鳥オルガン」に最適な楽曲用パンチカードを作成できる。同ソフトで転調やアレンジもできるので、音楽に詳しい人は挑戦してみるとよいだろう。

製品名:大人の科学「手回し鳥オルガン」
価 格:2,500円(税込み)

大人の科学「手回し鳥オルガン」
学研

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編集部:関口哲司
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