【最新ハイテク講座】10万馬力どころじゃない! 小型ノートパソコンを超安くした「Atom」


一昔前まではノートパソコンといえばデスクトップパソコンに比べて価格が高く、10万円を切る製品も少なかったが、最近では実売価格3万円台からノートパソコンが購入できるようになった。

こうした小型のモバイルノートパソコンへの動きは加速しており、データ通信カードとセットで100円で購入できるといったミニノートまであらわれている。
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話題の低価格なミニノートパソコンで注目を集めているのがそれらに搭載されている「Atom(アトム)」という新型のプロセッサー(CPU)だ。パソコンショップや家電量販店のパソコンスペック表やキャッチコピーで、「Atom」という言葉を見たり聞いたりした人も多いだろう。

実は「Atom」があったからこそ今日のように低価格なノートパソコンが登場したと言っても過言ではないのだ。

今回は、小型ノートパソコンを安くした「Atom」についてじっくりとみてみよう。

■Atomとそれを支える技術
Atomはどのようにして生まれたのだろうか。またどのような特徴を持っているのだろうか。Atomの歴史とそれを支える技術を簡単にまとめてみた。

●Atomって、鉄腕アトムのように凄いの?
Atomとは、ノートパソコンやモバイル端末向けに開発されたインテル社のプロセッサーブランド名だ。開発コード名は「Silverthorne」および「Diamondville」と呼ばれていた。Atomは同社が業界をリードする Hi-k メタル・ゲート採用の 45nm プロセス技術によって製造されている。

●バッテリーが長持ち
最大の特徴はこれまでのノートパソコン向けプロセッサーに比べて圧倒的に優れた低消費電力だ。現在主流のノートパソコン向けプロセッサーであるCore 2 Duo プロセッサーの熱設計電力(TDP)は最大35W(ワット)だが、AtomのTDPは0.6〜2.5W程度と1/14以下で消費電力が極端に低い。

その結果、プロセッサーをCore 2 DuoからAtomに変更するだけでもバッテリーの駆動時間はのびるし、本体の小型化のためにバッテリーの容量を減らした場合でも、プロセッサーを変更する前と同程度かそれ以上の駆動時間が得られる。

●小さいので搭載しやすい
Atomは約24平方ミニメートルとダイサイズが非常に小さいことも特徴の一つ。しかもそのダイに4,700万個ものトランジスターが集積されているのだ。

プロセッサーが小さければ、ノートパソコンにも搭載しやすい。Ultra Mobile PC(UMPC)端末などの本体が非常に小型のマシンでも搭載できるというわけだ。

●Atomで性能アップ
Atomは単に低消費電力なプロセッサーではない。プロセッサーとしての性能も高く、インテルのCore 2 Duo プロセッサーの命令セットと互換性も維持している。さらに新しいアーキテクチャーがマルチスレッドに対応したことで、パフォーマンスを向上すると同時にシステムの応答性を高めている。つまり、小型なのに速いのだ。


■ミニノートの低価格化にも貢献する作りやすさ
AtomはCore 2 Duo プロセッサーに比べて低価格で製造できる。当然、Atomは、Core 2 Duo プロセッサーより価格を安く抑えられるのでパソコンメーカーはAtomを採用することで、パソコン本体の製造コストを削減できるのだ。今までより低価格なミニノートパソコンであっても採算がとれるのは、Atomのおかげと言っても過言ではないだろう。

最新のモバイル端末「WILLCOM D4」は、プロセッサーにインテル Centrino Atomを採用している。Centrino Atomはプロセッサーの機能に加え、これまで別のチップで処理していたグラフィックスや無線などの機能を1つのパッケージにまとめたものだ。

Atomはモバイル向けのプロセッサーだが、Centrino Atomが登場したことで、今後登場するノートパソコンやモバイル端末にも加速度的に広まる可能性を秘めているプロセッサーなのだ。

マンガの鉄腕アトムはロボットと人の社会を変えたが、インテルのAtomは人とパソコンの関係を大きく変えるかもしれない。


参考:
インテル 最新の低消費電力プロセッサー・ファミリー向け「インテル Atom」ブランドを発表
インテル - 企業サイト


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