【気になるトレンド用語】携帯会社が争う″モバイルWiMAX″って何?


近頃、"WiMAX"という言葉がインターネットニュースなどで多く見るようになりました。どうやら無線LANと関係がありそうなのですが、携帯メーカーも乗り出しているモ"バイルWiMAX"というのもあるようです。

■WiMAX(ワイマックス)ってなに?

"WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)"は、固定無線通信の標準規格で、IEEE(米国電気電子学会)で承認されています。IEEE 802.16規格の使用周波数帯を変更したものです。特徴は、見通しのわるい場所でも通信できるように改良されている点で、アンテナ1台で半径約50kmをカバー、最大で70Mbpsの通信ができるといわれています。

いわゆる次世代無線技術であるWiMAXですが、現在普及している無線LANとは何が違うのでしょうか。

WiMAXは、建物の内部で使用することを目的とした無線LANとは異なり、Wireless MAN(Metropolitan Area Networks)と呼ばれる長距離の無線通信を目的としています。すなわち大都市圏(都市部)をエリアとする、広範囲での無線通信を目的としているのです。

IEEEで標準化されたWiMAX規格は「IEEE 802.16-2004」「IEEE 802.16a」の2種類があり、「IEEE 802.16e」は、現在、標準化の作業中です。

この規格がうまれた背景には、米国のような大陸全土で有線のブロードバンド回線網を設置する措置が困難であったことがあります。人口の少ない地域にもブロードバンド回線を安価に施設するには、末端部分を無線接続に置き換えるという、いわゆる「ラストワンマイル」での無線接続が必要があったというわけです。

モバイルWiMAXは、固定ではなくモバイル用途での利用を目的とした802.16e規格を指します。
実は、日本ではWiMAXよりモバイルWiMAXの方が注目されています。モバイルWiMAXは、現在のPHSや3G携帯電話を使用したモバイルインターネット接続と同等の使い勝手で高速インターネットアクセスを実現することができます。つまり、次世代PHSやHSDPAとは競合する規格なのです。

■携帯キャリア各社が争う"モバイルWiMax"の免許

2007年5月15日に総務省から2.5GHz帯を使った次世代高速無線通信の免許割り当て方針案が発表されました。その内容は、利用可能な80MHz幅のうち、全国展開する移動通信サービス向けに、30MHzずつの2つの帯域を最大2社に対して割り当てることになっています。
ここで問題になっているのが割り当て条件です。

・3G携帯電話事業者およびそのグループ会社以外の者
・認定から3年以内のサービス開始
・5年以内に人口カバー率50%
・無線設備の開放

この条件のうち「3G事業者およびそのグループ会社以外の者」という条件によって、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、イー・アクセスの単独参入ができなくなりました。いわゆる「3分の1規制」です。ただし、3G携帯電話事業者にも参入する可能性が残されています。3G携帯電話事業者およびそのグループ会社単独での参入はできませんが、出資比率が3分の1以下の新会社を設立すれば参入することは可能なのです。こうした中で次のような、会社が共同出資会社を設立しています。

・NTTドコモとアッカ
・KDDIと京セラ
・ソフトバンクとイー・アクセス

動向を注目されるのが、PHS事業者のウィルコムです。ウィルコムはモバイルWiMAXとは異なる次世代PHSでの2.5GHz帯への参入を目指しています。既にPHSの基地局を16万ヶ所を持ち、MVNO(仮想移動体通信事業者)向けにネットワークを開放していることから、割り当て条件を満たすことが容易と見られています。

■WiMAXの可能性と懸念点

平成18年8月11日に総務省より策定された『次世代ブロードバンド戦略2010』によると、ブロードバンド・ゼロ地域の解消に向けて"WiMAX"は有効なデジタルデバイド解消策の1つとして期待されています。しかし、"モバイルWiMAX"については、免許を得られる事業者が2社と限定されているため、通信インフラの寡占状態につながる恐れが考えられます。

モバイルWiMax(802.16e)の通信サービスが実現すれば、乗り物で移動しながらでも、途切れることなく大容量のデータ通信が可能になります。これにより、ゲーム、動画配信、観光情報の提供などエンターテーメント性の高いものからテレビ会議、位置情報サービス、遠隔医療などの分野での応用が期待されます。

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