【大人の物欲】手のひらサイズの江戸からくり「茶運び人形」


世界でも指折りの科学技術を有する日本は、ロボット大国でもある。最近では、企業だけでなく個人でロボットを製作して競技に出場する人もいる。人がロボットへの憧れを持つのは日本だけに限った話ではないが、特に日本人は昔から精密な機械いじりが好きな民族といってもいいだろう。鎖国により海外との交易を制限した江戸時代には、「からくり技術」と呼ばれる独自の機械技術を使い、庶民が「からくり人形」と呼ばれるロボットを作りあげていたほどだ。今回は、数あるからくり人形の中から、もっとも有名な「茶運びロボット」を紹介しよう。

■「茶運び人形」とからくり半蔵

「茶運び人形」は、文字通りにお茶を運ぶ人形だ。お盆にお茶碗をのせると動きだし、お客さんの前でお辞儀をして、お客さんがお茶椀をとるとその場で停止する。お客さんがお茶を飲み終わり再びお茶碗をお盆にのせると動きだし、今度は旋回して元の場所に戻ってくる。この一連の動きは機械的にプログラミングされている。

「茶運び人形」を最初に作った人物は、からくり半蔵こと細川半蔵頼直で、江戸時代の科学者。彼が著した日本最古の工学書「機巧図彙(からくりずい)」には、「茶運び人形」の詳細な作り方が記載されている。「機巧図彙」は、首巻・上官・下巻の全3巻で、「茶運び人形」をはじめとする9種類のからくり人形が図解入りで詳細に解説されており、後の技術者の教科書的な存在となったようだ。

■「茶運び人形」の製作

今回は、学研が出版する大人の科学Vol.16「茶運び人形」の付録を製作した。同社は「大江戸からくり人形」という「茶運び人形」を販売しているが、今回の付録は、その「大江戸からくり人形」を簡略化したもので、組み立ても簡単にできるようになっている。
左が冊子、右が付録の「茶運び人形」大人の科学マガジン「茶運び人形」
左が冊子、右が付録の「茶運び人形」大人の科学マガジン「茶運び人形」

「茶運び人形を」作る上で必要なパーツは、すべて揃っているが、道具だけは自分で用意する必要がある。「茶運び人形」は、台車から組み立てるが、写真とイラスト付きで組み立て方が詳細に書かれているので、とくに戸惑うことはないだろう。
付属の「茶運び人形の着物」組み立てに必要な工具
付属の「茶運び人形の着物」組み立てに必要な工具

組立てに使われているネジは、プラスチックにみぞを刻みながら入れていくタイプだ。JIS規格No.1のドライバーを使って、ドライバをネジにしっかりと当てながら垂直に押し付けて固定していこう。ボディを台車に取り付ける際に基盤から本体が浮いた状態で固定されるとギアがかみ合わずにゼンマイの力が伝わらない。ボディは、力を入れて台車に押し込み、しっかりとネジで固定しよう。本付録には、紙製の着物が付属されているが、冊子の92ページの型紙を使うと、オリジナルの着物を作成できる。布を使えばさらにリアリティを出せるだろう。
「からくり人形」の着物が完成完成した「からくり人形」
「からくり人形」の着物が完成完成した「からくり人形」

製作時間は、あくまで目安だが、本体が約30分、着物が1時間30分程度。

■「茶運び人形」を動かす

「茶運び人形」のゼンマイを巻いて床に置けば準備は完了。人形の受け皿に茶碗を置くと、プログラムが自動的に実行される仕組みとなっている。人形が旋回する角度や旋回を始めるタイミングは好みにあわせて調整できる。まず、旋回の角度を調整するにはドライバーを本体のよこの穴から通し、調整駒をとめているネジをゆるめて調整駒を左右に動かすことで旋回角度を変更できる。

旋回を始めるタイミングはゼンマイで調整できる。ゼンマイを巻くと、プログラムを制御している回転板が、いつも同じ位置にセットされてプログラムを初期化できる。あらかじめ回転板を手でまわしておけば、人形が初めにお辞儀をして旋回するまでの距離を2.5cm単位で短くすることができるというわけだ。この機構は、江戸時代の「茶運び人形」にもあり、主人とお客さんとの距離に合わせて調整したという。
旋回駒を調整する「茶運び人形」を動かす
旋回駒を調整する「茶運び人形」を動かす

「茶運び人形」は、江戸時代のハイテクロボットといえる作品だ。動作が巧みな上にプログラムも機械的ながら調整できる。付属の冊子には、今回の「茶運び人形」をベースにして「茶運びメイド」や「オ茶イカガ?」ロボット、オリジナルでは動かない足を動かす改造なども紹介されているので、興味があったらチャレンジしてみるとよいだろう。

「茶運び人形」は、単に作るだけも良し、カスタマイズするも良しと、十分に大人の物欲を満たしてくれるだろう。

写真:写真一覧

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大人の科学マガジン「茶運び人形」
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編集部:関口哲司
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