【気になるトレンド用語】サブカル=オタクじゃなかった!?知ってるつもりの″サブカルチャー″


"サブカルチャー"と呼ばれる日本のマンガやアニメは、今や世界に大きな影響を与える文化の一つとして国内外を問わず評価が高く、新聞やネットなどのメディアを湧かせることも多くなっています。

つい先日の5月22日には、マンガオタクとしても有名な"ローゼン閣下"こと麻生太郎外務大臣が「国際漫画賞」の創設を発表。マンガ界の"ノーベル賞"の位置づけを目指すと、国を挙げた熱い取り組みを表明したのは、まだ記憶に新しいところですね。

もはや一過性のブームではなく、一つの文化としてすっかり日本に定着した"サブカル"ですが、本当の言葉の意味を知っています?

なんとなく雰囲気で使っている人も多いようですが、今日はこの"サブカル"という言葉の歴史をひもといてみましょう。


■サブカルチャーはどんな意味

サブカルチャーという言葉は、1950年に社会学者のデヴィッド・リースマンが使ったのが最初で、「主流文化に反する個人のグループ」を意味します。

絵画や純文学、クラシック音楽などのハイカルチャーに対して、おもに娯楽を目的とするマイナーな趣味や若者文化のことを指し、日本語では"下位文化"とも訳されています。ハイカルチャーが受け手にある程度の教養を要求するのに対して、サブカルチャーは必ずしも受け手を選ぶことはなく、誰もが楽しめるのが特長です。

■日本の"オタク文化"はどう生まれたのか?

日本には80年代にサブカルチャーという言葉が輸入され、既存の体制や価値観、伝統に相対するものとして多くの若者を魅了しました。これが俗にいう、「80年代サブカルチャーブーム」と呼ばれる流行を作り出したきっかけです。

当時は、マンガやアニメ、ゲーム以外にも、オカルトやアングラ、ディスコ、アダルトビデオにいたるまで、実に広範囲のものがサブカルチャーと見なされました。この時点で、すでに本来のサブカルチャーが持っていた"マイノリティ"要素は失われていたようです。

90年代に入ると、"メディアミックス"の名の下に漫画、アニメ、ゲームといったジャンルの統合が進み、ここで初めて「オタク文化」と呼ばれるムーブメントが誕生しました。その勢いは強力で、現在では、この「オタク文化」こそサブカルチャーそのものであるという見方さえでてきています。

■日本と海外のサブカルチャーには"違い"が?

●欧米のサブカルチャーは"オタク"じゃなかった?
さて、日本ではサブカルチャー=ヲタク文化のような印象を持たれていますが、海外では、どうだったのでしょうか? 実は、日本とはかなり違いがあるようです。

もともと欧米でいうサブカルチャーとは、社会の支配的な文化(メインカルチャー)に対して、その文化から外れた少数派の下位集団(マイノリティ)のこと指しています。メディア文化以外の価値観や行動様式など、"本来の文化に近い"という意味でサブカルチャーと呼ばれるようになりました。

また、当初は、マンガやアニメ、ロックなど、大量生産・大量消費される商品がサブカルチャーであり、文化的に"劣る"という意味合いが込められていましたが、90年代以降はハイカルチャーと変わらない影響力を持つようになり、その定義はあやふやになっています。

●日本のサブカルチャーはどんなもの?
それに対して、日本でのサブカルチャーはどうでしょう? 日本でサブカルといえば、マンガやアニメ、アイドル、フィギュアといったいわゆる"オタク趣味"を指すことがほとんどです。

livedoorリサーチで調べた「サブカルチャーに対するイメージ調査」でも、「オタクっぽい」が1位となり、"サブカル=オタク文化"と考えている人は多いようです(サブカルを知らない人除く)。

しかし、前述のとおり、海外での"サブカルチャー"の定義はオタク文化ではなく、日本と海外の定義は少し異なるものになっています。
また、アニメやマンガは日本の主流文化であり、一般化しているため、サブカルチャーとして定義できないのでは? というような意見もあります。

■類語にはどんなものがあるの?

サブカルチャーは、場合によっては、カウンターカルチャー(対抗文化)という言葉と同じ意味で使われるときがあります。

カウンターカルチャーとは、伝統的・支配的な文化に対抗する文化という意味で、60〜70年代にかけてよく使われ、狭義にはヒッピー文化に代表されるものです。90年代には、オルタナティブカルチャーという言葉も使われるようになりました。

若者文化と重なる部分もありますが、サブカルチャーは必ずしも若者だけが支持するとは限らないため、異なる視点から用いられる言葉とされています。


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