ファーウェイが独自OSとされる「HUAWEI HongMeng」の商標を日本でも出願!OPPOやvivo、Xiaomiなどの中国メーカーも採用し、オール中国でアメリカに対抗か



独自OSの名称とされる「HUAWEI HongMeng」が日本でも出願!

Huawei Technologies(以下、ファーウェイ)がコンピュータソフトウェアなどの広い分類において「HUAWEI HongMeng」(商願:2019-068445、称呼:ファーウエイホーンムオーン)という商標を経済産業省 特許庁へ5月14日に出願したことが明らかになりました。

同庁および工業所有権情報・研修館(INPIT)が共同で運営する「特許情報プラットフォーム|J-PlatPat」にて確認でき、出願人は同社のカタカナ表記「ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド」名義で、現時点では「審査待ち」となっています。

このHUAWEI HongMeng(華為 鴻蒙)は同社が開発する独自OSとされる名称で、中国の国家知的財産権(知識産権)局商標局でも「華為鴻蒙」として5月24日に商標が登録されています。なお、中国での出願は2018年8月24日で、登録公告は日本での出願日と同じ5月14日とのこと。

中国や日本以外の多くの国・地域でもHUAWEI HongMeng(華為 鴻蒙)という出願をしているものの、中国以外では「Oak OS(方舟OS)」として展開するという噂もあり、最終的にどういった名称になるかは不明ですが、今秋にも独自OSを搭載した製品を投入するのではないかと見られています。


ファーウェイでは以前よりスマートフォン(スマホ)など向けに独自OSを開発しているという話がありましたが、アメリカが同社を輸出規制リスト(Entity List)に追加したことによる「ファーウェイ問題」が発生したことによって一気に話題に上ることが多くなりました。

その詳細は明らかにされていませんが、Androidアプリが動作するとされていることからAndroid Open Source Platform(AOSP)を利用したカスタマイズ版とも言われており、ファーウェイなどの中国メーカーは中国ではAndroidベースの独自OSですでに長きに渡って展開しているため、製品化はそれほど難しくないと思われます。

一方で実際に輸出規制リストで問題となっているのは、オープンソースのAndroid自体ではなく、Googleがライセンス提供しているGoogle PlayなどのGoogle Mobile Service(GMS)などとなり、仮にGoogle Playなどに対応しない独自OSであった場合には中国以外の日本を含む国・地域で製品化できて投入したとしても普及にはなかなか難しいと予想されます。

中国ではファーウェイ以外のOPPO Mobile Telecommunicationsやvivo Mobile Communications、Xiaomi Technologyといった世界シェアでも上位にいる中国メーカーもHUAWEI HongMengを採用し、Tencentなどのアプリメーカーも協力して“オール中国”でアメリカに対抗するといった話も出ています。

とはいえ、最終的にはGoogleやFacebookなどのアメリカの企業が提供するサービスやアプリが利用できないとなれば、日本などでは受け入れられることはなく、利用者から「使いたいアプリがない」として終焉を迎えた「Windows Phone」や「BlackBerry OS」などと同じ末路になりそうです。

そういった意味ではファーウェイではOSのHUAWEI HongMengや半導体などの自社製造などはあくまでアメリカとの交渉の武器でしかなく、これらを用いてアメリカから良い条件を引き出してファーウェイ問題を解決に導くといったことがシナリオとして考えているのではないでしょうか。

奇しくもHUAWEI HongMengの日本での出願や中国での登録公告がアメリカが輸出規制リストにファーウェイを追加すると発表した5月15日の前日となっているのも事前にそういった情報を察知し、現在の状況を予想していたように思われます。昨年の「ZTE問題」以降、ファーウェイでは同様の状況に陥る可能性を強く意識して準備してきたことが明らかにされていますが、それらが良くわかる動きのように思われます。

記事執筆:memn0ck


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