トイレのペーパー残量を計測できるスマートIoTトイレットペーパーホルダーによる実証実験を北九州市で実施


FutuRocketは2019年3月30日〜4月1日まで、北九州市内の公衆トイレにて、トイレットペーパーの利用状況と残量を計測できる、スマートIoTトイレットペーパーホルダーの実証実験を行った。

■あると便利なスマート式トイレットペーパーホルダー
今後も実証実験を日本各地で行い、経済性が高く快適な公衆トイレ環境の実現を目指していくとしている。

このスマートIoTトイレットペーパーホルダーは、北九州市が2018年10月から2019年3月にかけて主催したビジネスアイデアコンテスト「北九州でIoT」にて、TOTOによる課題テーマ「IoTで作る未来の水まわり空間とは」に採択されて制作されたもの。

今回製作した、スマートIoTトイレットペーパーホルダーでは、既成の二連ロールのトイレットペーパーホルダーを改造し、距離センサーと通信を行うマイコンを内部に設置した。

15分おきに、それぞれのトイレットペーパーロールの残量を、低消費電力が特徴であるIoT向けの無線通信規格であるSigfoxを利用して、クラウドにデータを送信する。クラウドシステムにログインすることで、計測した数値や紙の残量変化のグラフを確認することができる。

■トイレットペーパーの残量を計測できるメリット

公衆トイレは、市街地の各地に点在しており、離れた場所にある公衆トイレにメンテナンスに向かうのに往復数十分、1時間近くかかる場所にあるものも珍しくないそうだ。トイレットペーパーの残量がなくなるタイミングを予測し、最適のタイミングで清掃にいくことで、清掃回数を最適化し、労務コストを下げることが可能となる。

公衆トイレが置かれた場所によっては、休日や特定のイベントの有無によって紙の消費量が大きく変化する箇所もある。例えば、公営の野球グラウンドのそばにある公衆トイレでは、グラウンドの利用状況によってトイレットペーパーの使用量、メンテナンスの必要性も大きく変化するが、そうした状況の変化を予測、検知することができる。

また今までは、紙切れのタイミングを予測することが難しかったため、まだ紙が多少残っていても、早めにトイレットペーパーを清掃のタイミングで交換されたりしていた。紙切れのタイミングを予測、計測できることで無駄なく紙を利用することができるようになる。

こうしたメリットにより、公衆トイレの経済性を高めることができ、また公衆トイレの利用頻度、利用状況の実態を把握することで都市計画に役立てることができるだろう。

■今回の実証実験について

今回の実証実験では低消費電力に優れたLPWA(Low Power Wide Area)のひとつであるSigfoxという無線通信規格を活用した。これによりWi-Fiがない場所でも設置をすることができ、ネットワークのIDとパスワードを設定するといった操作が不要で、電源を入れるだけで実証実験を行うことができた。

電源には充電式のバッテリーを活用しており、電源がない場所でも現状では40時間連続して計測を行うことができる(今後、プログラムなどによる省電力化により1〜2週間連続稼働していくように改善予定)。

また月の通信コストは100円以下と低額なため、月にトイレットペーパー数本分節約することができれば、このコストを回収できるほか、労務費を削減することでさらなるコストメリットが見込めることが確認できた。

■今後の展開

昨年の9月に名古屋市内のほとんどの公園トイレにトイレットペーパーがないことが市議会で取り上げられ、メディアでも紹介されて話題になった。ペーパー補充などの手間のため、1棟年間3万円の追加コストが発生すると報じられていたが、スマートIoTトイレットペーパーホルダーによって、公共トイレの利便税・経済性を高めて行きたいとしている。

また公共施設以外にも、商業施設、オフィスビルへの展開も考えており、実証実験に協力する自治体、事業者を募集し、実施していく予定とのことだ。



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