秋吉 健のArcaic Singularity:NTTドコモの料金値下げ発表が与えた波紋。MVNOなどの格安SIMへの余波とその裏に潜む巨大な自社経済圏の確立について考える【コラム】



NTTドコモの料金値下げが与える業界全体への影響について考えてみた!

NTTドコモは10月31日、都内にて「決算説明会」を開催しましたが、代表取締役社長の吉沢和弘氏が「大胆な料金プランの見直し」について言及し、2019年4〜6月を目処に同社料金プランをよりシンプルで分かりやすいものへ改定し、さらに月額料金についても2割〜4割程度下げる予定であることを発表しました。同時に値下げによる還元額は総額4000億円程度になるとの見通しも語っており、同社が来年度に一時的ながらも減収減益となる可能性にも言及しました。

これを受けて市場ではKDDI(au)やソフトバンクといった移動体通信事業者(MNO)各社を巻き込んだ価格競争が再燃し業界全体として利益率が下がるとの憶測が流れ、翌11月1日の株式相場ではMNO各社の株が全面的に売られ暴落する場面もありました。このコラムを執筆している11月2日の時点では反発から各社とも株価を持ち直していますが、今後の株式動向は非常に不鮮明と言わざるを得ません。

そもそもNTTドコモが今回の値下げを発表した背景には、8月21日に菅官房長官が札幌市内での講演の際にMNO 3社の月額料金について「4割程度下げる余地はある」と発言した一件があります(吉澤社長は否定)。当初NTTドコモを初めとしたMNO各社は菅官房長官の発言へ一定の理解を示しながらも、現状の料金への理解とサービスの充実などによる消費者還元を理由に値下げについてはほぼ言及してきませんでしたが、ここに来て大きく風向きが変わった形となります。

NTTドコモが決定した舵取りは今後の通信業界にとってどのような影響を与えるのでしょうか。感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する「Arcaic Singularity」。今回は携帯電話料金値下げによる業界全体への影響について考察します。


携帯電話料金の値下げは私たちに何をもたらすのか


■懸念されるMNOの寡占

共有する

関連記事

【ケータイラボ】「極める」ケータイ登場!ドコモ 703iシリーズ発表会レポート

NTTドコモは20071月16日(火)、都内 代官山ヒルサイドテラスにおいて、携帯電話端末の新モデル「FOMA 703iシリーズ」など10機種を発表した。FOMA 703iシリーズは、スタンダードな機能を持ちつつデザインにも注力した個性的なモデルと…

【デジカメ調査室】強力二重奏!新「LUMIX」シリーズ6機種発表

松下電器産業は2007年1月31日(水)、パナソニックセンター東京において、デジタルカメラ「LUMIX」シリーズ新製品6機種の記者発表会を行った。今回発表された製品は、世界最薄※1・広角28mm※2ズームレンズ搭載の「FX30」、世界最小※…

【デジカメ調査室】プロ機一新!キヤノン デジタル一眼レフ「EOS-1D Mark III」発表会

キヤノン株式会社は2007年2月22日(木)、都内 キヤノンSタワー「キヤノンホールS」において、プロ用デジタル一眼レフカメラと、コンパクトデジタルカメラ IXY DIGITALおよびPowerShotシリーズ、計5機種の新モデル記者発表会を行っ…

【デジカメ調査室】縦置きスタイルも登場!新PowerShot 2機種発表へ

キヤノンは、PowerShotシリーズの新製品として、光学手ブレ補正付きの光学10倍ズームを搭載した「PowerShot TX1」、光学手ブレ補正付き光学4倍ズーム搭載の「PowerShot A570 IS」の2機種を3月中旬より発売すると発表した。価格は、オ…

【ケータイラボ】ドコモにもついに登場!「サイクロイドスタイル」

誰もがキレイな液晶画面だと納得するのがシャープの携帯電話である。ようやく、ドコモの携帯電話にも3.0インチワイドQVGAモバイルASV液晶を搭載し、「AQUOS」の冠を与えられた端末が登場した。ドコモショップに聞いてみると、問い合わせ…