携帯電話サービス「mineo」が「通信の最適化」を事前告知なく開始したことで謝罪!正当業務行為に当たるなどとして違法性はないと主張も、早急にオフにできる機能などの導入を検討



mineoが通信の最適化について説明!

ケイ・オプティコムは7日、NTTドコモやauから回線を借りて仮想移動体通信事業者(MVNO)として提供している携帯電話サービス「mineo(マイネオ)」( http://mineo.jp )において「通信の最適化」を2018年4月10日より実施していると案内しています。

また通信の最適化については「通信の秘密」や「著作権の侵害(同一性保持権侵害)」の観点から違法性も指摘されていますが、同社では弁護士との相談結果も踏まえ、前者は約款での記載を踏まえて円滑なサービスを提供するための「正当業務行為」に当たり、後者は圧縮の度合いを普通に利用する範囲では認識できない程度に留めることで侵害に当たらないと説明しています。

ただし、約款に記載しているとはいえ、実施前に告知および説明ができていなかったこと、さらに実施後も正式な見解をタイムリーに公表できなかったことに対してmineoの責任者で同社のモバイル事業戦略グループ グループマネージャーの上田晃穂氏名義で公式コミュニティーサイト「マイネ王」にて謝罪をしています。

なお、同社では現在実施している通信の最適化の具体的な仕様についてもマイネ王にて説明しているほか、通信の最適化自体はネットワークが逼迫していることから今後も継続して最適なチューニングを施していくとするものの、一方で「土日の最適化の非適用」や「最適化の適用除外」については早急に検討するということです。


mineoの提供条件における通信の最適化の説明部分



提供条件にはポート規制についても記載されていますが、現時点ではポート一律での制限はしていないとのこと

通信の最適化は日本でも以前より度々問題となっており、ネットワークが逼迫しやすい新規事業者やmineoのようなMVNOで多く導入されているほか、現在ではNTTドコモやauでも実施しています。

一方で一部MVNOやNTTドコモ、auでは通信の最適化をオフにする機能を用意しており、過去に大きな問題となったソフトバンクでは通信の最適化をやめており、通信速度制限のみとなっています。またMVNOでも「IIJmio」や「NifMo」などのように実施していないところもあります。

そういった中でmineoではサービス開始当初の2014年6月時点から約款(に付随する「提供条件」)に実施する場合があることが記載されていましたが、タイミング的にはまさに100万回線を達成したその日、4月10日から実際に実施しているということです。

mineoにおける通信の最適化は以下の混雑すると予想される時間帯において下り(ダウンロード)のみに適用されており、データ圧縮およびTCP最適化、動画・SSL・QUIC(UDPにおけるSSL)のページングが行われているとのこと。なお、上り(アップロード)については適用されないということです。

・テキスト圧縮、ペーシング
平日:7:30〜9:00、12:00〜13:30、17:30〜24:00
土曜:11:00〜23:00
日曜:12:00〜23:00

・静止画圧縮、TCP最適化
平日:7:30〜9:00、12:00〜13:30、17:30〜19:00
土曜:11:00〜19:00
日曜:12:00〜19:00

データ圧縮の対象ファイルはテキスト(gzipによる可逆圧縮)と画像(JPEG・PNG・GIF形式)の非可逆圧縮となっており、画像については同社では「圧縮による劣化の程度(見え方)は、画像の種類によって変動はありますが、見た目を大きく損なわない程度と考えられるレベルで実施」と説明。

なお、SNSなどで指摘されているhttps(ポート443)などの特定のポートにおける速度制限についてはポート単位で一律で制限をしているということではなく、あくまでバッファー残量を推定してデータの送信ペースをコントロールするページングに伴ってSSLやTSLなどの暗号化されているhttpsやVPNなどでスピードテストを行うと遅い結果が出るものとしています。

ページングは例えば、動画ではストリーミングで視聴時に先読みし過ぎるのを防ぐことによって途中で視聴停止したり、頻繁に違う動画を見たりする(ザッピング視聴)ときに結果として無駄となるパケットを削減するために有効だとのこと。また最大配信速度を抑制することで配信品質・ビットレート(720pや360pなどに)を抑えることができ、混雑時でも動画視聴の安定化につながるとしています。

同社も謝罪しているようにこういったことが事前に説明されていれば「秋吉 健のArcaic Singularity:格安SIM「mineo」が「通信の最適化」や「ポート規制」の問題で炎上!?企業倫理と法律の狭間から通信事業の在り方について考える【コラム】 - S-MAX」で紹介したような炎上ももう少し抑えられたかと思うと残念に思うところはあります。

また通信の最適化はオフにはできますが、NTTドコモやauでも実施していますし、MVNOでは「UQ mobile」や「楽天モバイル」、「nuroモバイル(ソニーネットワークコミュニケーションズ)」、「BIGLOBEモバイル」、「Fiimo」などでも実施しています。

一部、UQ mobileやFiimoなどでは約款に記載されていないようですが、実施しているところは基本的に約款やそれに付随する提供条件・説明事項などに記載があるのでそういったことが通信サービスを選ぶ上で重要だと思う場合にはしっかりと確認し、単に料金やサービス、スピードテストの結果などだけでなく、総合的にサービスは選びたいところですね。

紹介コード
http://mineo.jp/syokai/?jrp=syokai&kyb=F0U2C7X4J0

mineo エントリーパッケージ au/ドコモ対応SIMカード データ通信/音声通話 (ナノ/マイクロ/標準SIM/VoLTE) [エレクトロニクス]
ケイ・オプティコム
2015-03-27




記事執筆:memn0ck


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