Torを利用した秘匿性の高いAndroid向けメッセンジャーアプリ「Briar」のベータ版がGoogle Playストアで提供開始!BluetoothやAdhoc Wi-Fiを使ったP2Pモードも用意



Torを利用した秘匿性の高いメッセンジャーアプリ「Briar」が登場!

Briar Projectは21日(現地時間)、秘匿性の高いネットワーク「Tor」を利用することで傍受などがされにくいAndroid向けメッセンジャーアプリ「Briar」のベータ版「Briar Beta」を提供開始したと発表しています。

アプリ配信マーケット「Google Playストア」にて配信されており、利用料は無料で条件がAndroid 4.0(開発コード名:KitKat)以上となっています。ベータ版ながらCure53から「脆弱性もなく」というお墨付きも掲載されています。

【Torって?】

まずアプリの内容に触れる前に「Tor(トーア)」について簡単にまとめてみます。from Weblio - IT用語辞典バイナリには以下のように説明されています。

TorとはThe Onion Routerを略した物で、暗号化と複数のノードをプロキシ接続することによって匿名での通信を行うための技術、あるいはそのような技術を実現するためのソフトウェアの名称である。

ざっくり簡単にまとめると、通信内容の暗号化と、複数の通信拠点を経由することで、発信元を特定しづらくさせる技術を組み合わせた“秘匿性の高いネットワーク”のことを指します。

かの有名な、Wikileaksや元NSA局員のEdward Snowden(エドワード・スノーデン)氏が利用していたことで、一気に知名度が高まりました。


【Torネットワークを利用したメッセンジャーアプリ】

そんなTorネットワークを利用してメッセージ内容を高度に秘匿化させるメッセンジャーアプリが今回、Google PlayストアでリリースされたBriar Betaです。Briar Betaを使えば互いの会話を傍受されることを防ぎ、プライバシーの保護を高めることができます。

またTorネットワークは匿名性を高めるのにもってこいなものなのですが、犯罪やデモに利用されることもあるため、通信回線業者や国がTorネットワークへの接続をブロックする可能性もあります。

そうなると、メッセージのやりとりができなくなってしまうのですが、Briar Betaはそのような事態を見据えてか、Torネットワークを利用する方法以外に興味深い通信方法を用意しています。

それがBluetoothまたはAd-hoc Wi-Fiを利用して暗号化されたメッセージを送信するという方法です。BluetoothもしくはAd-hoc Wi-Fiであれば、端末同士が直接通信するため、間に中間サーバーなどを介さないため、秘匿性の高さをキープすることが可能です。

ただし、BluetoothもしくはAd-hoc Wi-Fiのどちらも機器同士が直接通信可能な範囲に限られるため、扱いは少し難しいかもしれません。


【連作先交換にも秘匿性を高める仕組みが実装される】

Briar Betaは連作先を交換する場合、他のユーザーの端末上に表示されたQRコードをスキャンしなければいけません。

また、このQRコードですが、Briar Beta側でスクリーンショットが取れないようにブロックされているため、連絡先を交換するには直接相手からQRコードを読み取らせてもらう必要があります。

非常に面倒くさい方法だと感じるかも知れませんが、通信の秘匿性を高めることを第一としておいているためには仕方ないところですね。

【Cure53のお墨付き】

実際にBriar Betaが本当に秘匿性を高めることができるメッセンジャーアプリなのかといったことを第3者であるセキュリティー会社のCure53が監督を行いました。

開発およびレビューの際に見つかった問題はすべて解決済みで、Cure53は「脆弱性が発見されず、非常に珍しいことではあるが、非常に優秀なアプリである」と評価しました。

一方で、秘匿性については非常にレベルの高いアプリとなっているのですが、1つ大きな問題を抱えています。それは、Torと常時接続する必要があることと、ジョブを完了させるためには常に通知を使用する必要があるためにバッテリーの消耗が激しいことにあります。

どうしても秘密にしたい内容を連絡する必要がある人は利用を検討してみるのも良いのかもしれません。

記事執筆:YUKITO KATO


アプリ名:Briar Beta
価格:無料
カテゴリ: 通信

共有する

関連記事

【気になるトレンド用語】誰のためのデジタル著作権!″DRM″は本当に必要なのか?

アップルの世界最大の音楽配信サービス"iTunes Store"が、DRMを適用していないEMIの音楽コンテンツ販売を開始するといったニュースが報じられるなど、"DRM"という用語がにわかに話題となっています。DRMは、デジタルデータ化した音楽や…

【ケータイラボ】出先で利用するのはどれがオススメ? 最新の″カード型通信端末″をチェック

筆者は、出先で仕事をすることが多くあるので、ノートパソコンを持ち歩くことが多い。特に最近はモバイルタイプのノートパソコンが軽量化したことで、持ち運びに苦痛を感じなくなったから持ち歩くことが多くなった。また、無線LANに対応…

【世界のモバイル】1回線契約なのに複数の端末が利用できる!海外のマルチSIMカードサービスの恩恵

一人で複数の携帯電話を利用したり、ノートPC用にデータ通信カードを利用するなどの回線を複数契約して利用しているユーザーも多いだろう。利用する端末の数が増えれば回線契約も増えるのは当然のことだが、海外では一つの回線契約で複…

【気になるトレンド用語】犯罪に繋がるネットワーク? 闇の職業安定所

インターネットの普及は、便利な世界を我々にもたらしてくれる反面、恐ろしい世界もぽっかり口を開けています。闇の職業安定所…。みるからに毒々しい言葉ですね。普通の職業安定所やインターネットの求人サービスは、仕事を探し仕事と出…

【世界のモバイル】なぜ日本国内だけ利用制限?日本の定額データプランの謎

NTTドコモから待望のHSDPA回線を利用したパソコン向けパケット定額サービスが開始された。海外ではすでに多くの通信キャリアが"モバイルブロードバンドサービス"として提供しており、日本もようやく海外と同じサービスが提供されたこと…