防災・減災に配慮したまちづくりにICTを活用!宮城県仙台市とNTTドコモが連携協定を締結――地域活性化や近未来技術実証も【レポート】


防災・減災に焦点を当てた仙台市のまちづくりにNTTドコモのICT活用!

仙台市とNTTドコモは29日、仙台市役所で記者会見を開き、「仙台市及びNTTドコモによるICTを活用したまちづくりに関する連携協定」の締結を発表しました。

仙台市とNTTドコモはこれまでも仙台市のシティシェアサイクル「DATE BIKE(ダテバイク)」や今年3月に行われた国連防災世界会議への協力、ドローン飛行の実証実験など、個別の案件での協力関係などが見られてきましたが、今回は防災・減災に焦点を当てたまちづくりに関して包括的な協定を結び、幅広い分野での協力関係を結ぶことになりました。

今回は記者会見と質疑応答の内容を通じ、協定の内容を紹介していきたいと思います。

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奥山恵美子仙台市長

仙台市の奥山恵美子市長は冒頭の挨拶で「NTTドコモさんとは震災時の避難所における通信環境の整備でご支援いただき、街の地域交通の面ではDATE BIKEといった形で連携事業を進めて参りました。今年度に入り、国家戦略特区の中でドローンに関係した部分についてお力をいただきました。ここでこうした個別の協同の関係をもう一段アップしたいと思い、ICTを活用したまちづくりというより大きなテーマでの協定があれば、個別の度毎に一からご相談ではなく、より包括的に進んでいけるので、今回の協定締結の運びとなりました」と今回の協定締結までの流れを説明しました。

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吉澤和弘NTTドコモ代表取締役社長

続いて、NTTドコモからは新社長の吉澤和弘氏が赴き、連携協定のポイントと意気込みを「協定パートナーとして弊社を選んでいただき、改めて御礼を申し上げたいと思います。今回の連携協定のポイントは3つあります。1つめは防災・減災。これまでドコモは災害に対して、通信を確保するための災害用通信機器を開発したり、基地局の増強や基地局の無停電化を進めています。今回は災害時に強い新しい通信方式や、ビッグデータを絡めた防災計画策定をぜひご一緒にやらせていただきたいと思います。2つめは地域活性化です。弊社のICTツールやサービスを駆使して、起業家の方と連携しながら、新しい活力あるサービスを地域発で出して、仙台市の活性化に貢献したいです。3つめは仙台市は国家戦略特区で、近未来技術の実証に取り組んでおりますが、さらなる貢献ができるかと思います。具体的にはドローンを活用した被災状況の伝送や、橋梁・建物の検査などの活用方法の実証をしていきたいと思います。ドコモの『+d』の一環で、仙台市の活性化に積極的に協力したいと思っています」というように語りました。

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連携協定のポイント

引き続き、NTTドコモの藤原道朗東北支社長より連携協定の具体的な説明が行われました。吉澤社長のお話通り、今回の連携協定は
・防災・減災
・地域活性化
・近未来技術実証(ドローンなど)
の3つの柱があるとしました。

【防災・減災】

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より有効な災害対策を検討

これまでもNTTドコモは東日本大震災や熊本地震などで、避難所への無料充電サービス、衛星携帯電話・携帯電話の無料貸出、タブレット端末によるインターネット環境の提供を行ってきましたが、より有効な配備計画を検討したいとのことです。

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モバイル空間統計を災害対策計画などに活用

具体的にはNTTドコモの持つビッグデータ「モバイル空間統計」(NTTドコモの契約者情報を使った人口統計サービス、どの場所にどの年代の人がどのくらいいるかなどをメッシュデータで把握できる。個人情報そのものではない)を用いて、それを避難所への前述の通信サービス配備や、帰宅困難者の予測、災害対策など各種計画策定などに活用していくことをイメージしています。先日の熊本地震でも人があまり来ない避難所に無料充電サービスなどを配備してしまったということがあったそうで、昼と夜でもかなり異なるという人口の動態を把握し、よりニーズにマッチしたサービスを提供したいとのことです。

【地域活性化】

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起業家を支援し、地域活性化

もう1つの柱地域活性化ですが、主に中小企業や起業したい人を支援するため、認証・決済機能、dポイント、IoTデバイス連携などのNTTドコモの持つアセットを提供したいとのことです。ハッカソンなどの開催も検討したいとのことです。震災後起業マインドが高いという仙台市の起業家を支援していきたいとのことです。

【近未来技術実証】

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ドローンの活用による被災状況把握

宮城県仙台市は国家戦略特区に指定されており、ドローンの飛行実証実験を規制の無い状況で行うことができ、3月27日には仙台市荒浜地区で実証実験が行われました。こうしたドローンの実証実験もさらに協力したいとのことでした。

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防災・減災での活躍が期待されるドローン

活用のイメージとしては、NTTドコモの通信網を利用し、ドローンの映像をリアルタイムで災害対策本部や、救助現場などへ伝送することが考えられています。災害対策本部からの出動要請の電話を入れるとすぐに出場でき、ヘリコプターのように近づくと風が起きるようなことも無いので、より近くで被害の状況を把握できます。

また複数のドローンを飛ばしてのモニタリングも考えられています。NTTドコモは東北大学とも協同で研究を行っており、そのノウハウを生かしていきたいとのことです。


防災時ドローン活用イメージ(NTTドコモ提供)


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今回の連携協定のまとめ


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協定書にサインする奥山市長


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協定書にサインする吉澤社長

これまでもNTTドコモは神戸市やニセコ町でまちづくり協定を結んだ経験があるそうですが、防災・減災により焦点を当てたまちづくり協定の締結は初めてとのことです。今回の協定は非常に広範な内容で、具体的に何をいつまで、ということは示されませんでしたが、NTTドコモの吉澤社長は「そんなに長い時間をかけるものではなく、ここ1〜2年が勝負だと思います。2020年までには確実なものを見せたいです」と意欲を語りました。

まずは包括的なまちづくり協定が結ばれましたが、今度どんな成果が見られるのか。まずはここ1〜2年で何らかの成果を挙げたい意向のようですので、仙台市とNTTドコモの動きに注目していきたいと思います。



記事執筆:こば


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報道発表資料 : 仙台市とICTを活用したまちづくりに関する連携協定を締結 | お知らせ | NTTドコモ

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