明日の鉄道を考える! 超座談会を開催!


ニコニコ超会議の「向谷実Produce!超鉄道」ブースにて、鉄道事業者各社が集まってのパネルディスカッション「明日の鉄道を考える!!」が開催された。会場には向谷実さん、SUPER BELL”Zの野月貴弘さん、ホリプロのマネージャー南田雄介さんのほか、阪急電鉄、西武電鉄、京阪電車、京急電鉄、大井川鐵道の中の人が集まり、今後の鉄道業界について議論した。

●鉄道の色はどうやって決まってるの?
まず議論となったのは鉄道会社の色。基本的にはコーポレートカラーがあるが、「いろいろと紆余曲折したり、やっぱり戻してみたり、今回はこうしようとか、他社とコラボしようとか考えがいろいろとあると思うので、色について話をお聞きしたい」と向谷さん。

トップバッターとして指名されたのは阪急電鉄。阪急と言えば、えび茶の渋い色「阪急マルーン」が有名だが、「創業当時から色は変わっていない」と語る藤田さん。「アンチ阪急の人からは“〇んこ色”とか言われるんで辛いところですが(笑)。うちの電車の自慢話ですが、近寄ると鏡のように自分の姿が映ります。それくらいキレイ」(藤田さん)。
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「途中で色を変えようとか議論にならなかったんですか?」という向谷さんの問いに対して、「思いっきり変えちゃおうかと検討したこともあるんですが、阪急の沿線に住む地元の方から大反対を受けまして。株主からもすごい反対があって。会社として変えることはできないという結論に達して今に至ります」と藤田さん。「創業当時からマークは変わってますが、100年間色は変わりません。これから100年も変わらないでしょう」(藤田さん)。

そして西武鉄道に。ご存じない方もいると思うので解説しておくと、西武鉄道の車両は、最初は渋いクリーム色にえんじの帯が入っていたのだが、途中からはクリームの上に黄色い帯、今ではステンレスの車体に青い帯と、色が変遷してきた。観客の人に「西武鉄道って何色ですかね?」と向谷さんが問いかけると、ほとんどの人は黄色に手を挙げた。「経営を刷新したときに作り出したロゴマークはブルーなんです」と西武鉄道の野田さん。では黄色はどうなるんだろうか。「廃車になって……」と野田さん。次第に消えていく運命のようで。
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次は京阪電車の番に。「特急電車は赤とオレンジで、来たらすぐ分かるように、通勤電車も緑と黄緑で、来たら分かるようにしています」と山本さん。「中之島沿線は水の都大阪をイメージしてエレガントブルー、シルバー、白を3000系には使用しています」(山本さん)。沿線の住民には3000系の色は驚きだったようだが、「シートの素材からこだわりまして、ゆったりくつろげながら移動ができる、またシックな色使い、シングルのシートを提供して乗り心地のいい電車、落ち着きのあるエレガントブルーとなっています」(山本さん。落ち着いて語る山本さんに向谷さんが「車掌さんみたいですね」と突っ込むと、「緊張すると車掌のような語り口になってしまうんです(笑)」と答える山本さん。山本さんは車掌を経験したあと運転士になったそうだ。
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「車掌さんの声ってああなってしまうんですか?」と向谷さんが聞くと、「先輩方の声を聞いていると、聞きやすい声質になるんですね。アナウンサーの勉強もしたことがあるんですが、分かりやすいことが一番だと」。スピーカーの音質が悪かったからああいうしゃべり方になったのではという都市伝説を向谷さんが披露するが、「昔も今もあまり変わりませんね。(お笑いタレントの)中川礼二さんがやるようなしゃべりですかね。『誰が車掌をやっても京阪はあの声やなと』とおっしゃる方もいますが」と山本さん。

「京急の飯島さんはいろとまったく違うヘルメットをしてますが」と向谷さんから紹介され、飯島さんは「京急というと赤い色のイメージがあると思いますが、キャンペーンやイベントの関係で青と黄色、それと標準の赤と3色そろっていて。楽しんでいただきながら乗っていただいていると思うのですが、赤い印象が濃いのかなと思います」としながら「当社のコーポレートカラーは、実は青なんです。1990年代に渚をイメージして青にしたとのことなんですが、それから時を経て、今は羽田空港の空をイメージして青、としています」とのこと。
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「ただ電車だけは赤で、なぜ赤なのかというのはどんなに社史をひっくり返しても分からない。アメリカの鉄道を真似たんではないかという説、太陽の赤だという説がある中、当時の木造の鉄道車両に使う際に、色として川崎大師の境内に塗られている丹と同じ色を塗ったのではないかというのが説として有力」だそうだ。「まもなく120周年になりますので、このあたりは徹底的に調べたい」(飯島さん)。

色といえば、まさに色とりどりな大井川鐵道。「色は困りましたね」と山本さん。「黒、灰色、緑、オレンジ、シルバー、赤、青もありますね。バスを入れると黄色も白もあります(笑)」。基本的には譲渡車両が多い大井川鐵道なので、このようになってしまうわけだ。「やはり元いた地域の方に来ていただいて懐かしがってもらう。これが我々の方針です」なのだとか。車両整備も大変だろう。「SLを先頭にしてオリジナルにこだわるのが当社の方針」(山本さん)。ちなみにコーポレートカラーは去年決まったそうだが、藍色だ。
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ちなみに西武鉄道と京急電鉄はコラボレーションをして、西武で赤い電車、京急で黄色の電車を走らせている。「関西であるんですか?」という向谷さん。「昔をひもときますと、京急と京阪は同じ会社でして」と京阪の山本さん。「相互乗り入れはまったく問題ないんですが」と阪急の藤井さん。「会社としては京阪産とも仲がいいんですよ。お客さんとしてはライバルとしていてほしいようですが(笑)」(藤井さん)。

会社としてのコーポレートカラーはあるものの、車両には自由な色使いをしているところがあるほか、阪急のように色を変えないという会社もある。では相互乗り入れが起きたときはどうなるのか。

「梅田には一切マルーン以外の電車を入れてないんです」と阪急の藤田さん。山陽電車と乗り入れをしているが、御影までは来ているのだが、それ以上は入っていない。「決まりがあるのかないのか分かりませんが」(藤田さん)。

方や副都心線が東急東横線とつながり、東京メトロ有楽町線・副都心線、東急東横線、みなとみらい線とも乗り入れることになった西武鉄道。「わけわかんないですね」と南田さん。「乗り入れているとそれぞれの車両のクセがあって大変じゃないですか」と向谷さん。西武の野田さんは「各社ボタンの位置ですとかすべて違うわけですから、習熟運転を行ってから本番に臨みますが、車種・車号によっても違いますので。『あそこのあの車両は効きが悪い』と言うこともあります」(野田さん)。

京急の飯島さんは「(京成電鉄、都営地下鉄と)相互直通を始めたのは長い歴史がありまして、車両の性能やスイッチの位置はある程度統一しています。コーポレートカラーでいうと、京成さんが赤と青、北総線が青、住都公団の車は黄緑色、都営地下鉄が白とあらゆる色の車両が羽田空港の駅に着いて『この電車はどこ行きですか。赤い電車が京急だと聞いたんですが全然来ませんねとか(笑)。ということがいろいろありまして、横浜方面が赤い色とか、ダイヤで調整したりと苦労はあります」と語る。「インバウンド需要で羽田空港に着いたお客様に『印旛日本医大』はどこに行くんだと(笑)。いろいろありますよね」(向谷さん)。飯島さんは「Fライナーのように相互直通で愛称を付けるというのは大事かもしれません」。

大井川鐵道の状況に振られて山本さんは「運転士自体が相互乗り入れですからね(笑)」と語る。「電車だけで3種類あるので、それをすべて運転できないとダメ。SLの運転手を兼ねている人は4社ですね。だからうちの運転手は器用です。全国を股にかける運転手ですね」(山本さん)。
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●鉄道マンとしての心得とは?
引き続いて、鉄道マンとしての心得とは?をテーマに語られた。「安全第一は基本ですね」と大井川鐵道の山本さん。「あとは、日々のお客様が少ないですから、一人ひとりの方に真心込めて接する、それが鉄道マンとしての意識。それをもっと高めていきたいというのはありますね」(山本さん)。

「喚呼でこだわっていることはありますか?」との向谷さんの問いに対して、京急の飯島さんは「なるべく大きな声でという指導はしていると思います」と答える。ただ、「車掌をやっているときに師匠から『あまり大きな声でやり過ぎるなよ』と言われたこともあります。声を出すことが目的となってしまって、意識することが飛んでしまうことがよくないので、お前は意識するところから始めろと」(飯島さん)。

「手の角度を真っ直ぐにしろと言われました」とは京阪の山本さん。そして「しかし喚呼というのは、自分を守るためもそうだが、後ろのお客さんのためにもやりなさいと言われましたね。その運転手を見たら『こいつちゃんと喚呼してる。安心や』と。これもお客さんへのサービスの1つやと」と語る。「自分だけを守るんじゃない。お客さんも守るんだと」(山本さん)。ちなみに運転席の後ろでしゃべっている言葉はたいてい聞こえるそうだ。

西武鉄道には厳しい研修があるのだとか。「松崎しげるの『吠えろライオンズ』を聞きながら朝の6時に起きるという経験をしました」と語る。今はやっていないそうだが、40キロウォークをしたり、1時間の正座をすることもあるとか。

「最近の西武さんは攻めてますね」と突っ込む向谷さんだが、それに対して「新しい挑戦ということでいろいろなところに。沿線の魅力があるのかというとそれほどポテンシャルは高くない。いろいろな企画をもってたくさんの方に西武鉄道のファンになってほしい。そのためいろいろな企画を考えています」と野田さん。

観光資源としての指定席制については、ここにいる会社では阪急だけが取り組んでいない。「クロスシートの座席については『京トレイン』という車両に席番号があるが、貸し切り対応のため。座席指定については需要を見ながら考えるかもしれないが、未定」(藤井さん)。
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最後に各社から一言。京阪の山本さんは「夏にビール列車を6月に企画しています。マイスターの講習を受けた私のおいしいビールを楽しみながら、ホームのお客さんに『どや』という顔を向けながら楽しんでほしいです」。

「先ほども言いましたがいろいろな企画をしながら多くの方々に今を提供したい」(西武鉄道 野田さん)。

「私どもは相変わらず古いものにこだわっていまして、硬券も発売しています。門デフも置いています。初めてのニコニコ超会議には圧倒されています」(大井川鐵道 山本さん)。

「5月の15日に自転車と一緒に乗れる企画を予定しています。品川駅に自転車で集合という。あと、鉄道へのこだわりと言うことで、皆さんとは違う格好をしていますが、保線の係員の格好なんです。保線の係員は絶対に背中を列車に向けません。背中を見せるのは列車を見守る監視員がいるときだけ。写真を撮られる方は列車が言ったばっかりだからと言って列車に背を向けていませんか。鉄道員のこだわりとして、自分がはねられる可能性がある、背中を向けるという行為はおそらく日本全国の保線マンはしないと思っています。皆さんも安全に鉄道を楽しんでください」(京急の飯島さん)。

「今年は神戸三宮に乗り入れて80周年。小林一三の念願だったんです。うちの会社の事業としてはすごい事業で、神戸線を走る列車にヘッドマークを付けています。デザインは個人的に僕がしました(笑)。是非神戸、大阪、阪急電車に乗るときには前等しろと違うマークを付けているので楽しんでください。また線路を歩くときには背面で歩くのは常識。電車が接近した場合は白線を越えないようよろしくお願いします」(阪急の藤田さん)。

「昔電車の整備をしていまして、JR九州さんが新幹線を復帰したとのことですが、路盤を整備している方も不休不眠でやられて運転再開となったと思います。僕も阪神淡路大震災で被害を受けたとき、先輩たちが必死に復旧したと聞いています。そういう思いをしながらの仕事だと思いますので、運転手や車掌もいいですが、整備もインフラを守る、誇りある仕事だと思っていますので、そういうものを目指してもいいのかなと思います」(阪急の藤井さん)。

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