NVIDIA DRIVE PXプラットフォーム、ディープラーニングアクセラレーション技術がATTTアワードを受賞


2016年3月16日〜18日の期間にわたって開催された「第7回 国際自動車通信技術展」。これに合わせて開催された「ATTTアワード」の「自動運転/AI部門」優秀賞に、NVIDIA DRIVE PXが選出され、3月16日に行われた授賞式にて表彰された。

ATTTアワードとは、国際自動車通信技術展の開催に合わせて、優秀と思われる企業を選出し、表彰するアワード。モバイル、IT、モビリティの融合による技術革新によって開発された商品、サービスやソリューションについて、「先進安全・環境技術部門」「自動運転/AI部門」「コンテンツ・サービス部門」「社会ソリューション部門」の4つのテーマで部門が設けられている。

今回NVIDIAが受賞した自動運転/AI部門は、自動運転の実現に寄与する技術や仕組みをはじめ、自動車の高度な進化を推進させるAI関連技術などが対象。現在NVIDIAが推し進めているNVIDIA GPUを活用した自動運転車のディープラーニングの成果が認められたと同社。

表彰式でプレゼンターを務めた選考委員の三浦和也氏(株式会社イード レスポンス編集長)は選考理由について、次のように述べている。

「自動運転/AI部門ではさまざまな候補、さまざまなアイディアが出てきました。その中でNVIDIAを選ぶことは、アイディアが出てきてからそれほど時間がかかりませんでした。先ほどのように、自動車メーカーのある特定の機能に対して表彰することも考えましたが、その技術ベースとなっているのはすべてNVIDIAでした。そして『これは結局全部NVIDIAじゃないか』という話になってしまいました。

縁の下の力持ちというか、自動車業界風に言えばサプライアーのひとつなのですが、でもそうじゃない。2015年の『International CES』で『DRIVEPX』を発表されたときに、NVIDIAはこういうパッケージでAIコンピューターとして売っていくんだと思い、そのマーケティング手法やプロダクトの展開の仕方に興味を持ちました。しかし、今年のInternationalCESで、1年足らずの間に性能を飛躍的に向上させて『DRIVE PX 2』を出してきた。これは全然違うなと感じたんですね。IT業界の手法で自動車業界を席巻していると。

自動車業界というのはサプライアーとメーカーの関係は1対1なんです。汎用の技術であっても、そのメーカーにいかに合わせていくかが大事になってくる。しかしNVIDIAは、ハードウェアやクラウド技術を、自動運転やAIに対して汎用性を持って提供していくという新しい手法によって、今の自動運転分野での大きなプレイヤーになっている。そういった結論で受賞に至りました」。

今回のATTTアワードについて、選考委員長である夏野剛氏(慶應義塾大学大学院 政策メディア研究科 特別招聘教授)は次のようにコメントした。

「いよいよこの賞を作っている意味が出てきたと思ったのが今年です。受賞の顔ぶれを見ても、自動車業界は自動車メーカーに閉じた時代ではなくなってきている。
NVIDIAのチップが自動車業界に持ち込まれることによって、自動運転が一気に実用化されてくるなど、最後の聖域である自動車業界のIT化が一気に進んでいるという印象を強く受けました。今年のこの賞は将来の自動車業界に大きな意味を持ってくるに違いありません」。

NVIDIA日本代表 兼 米国本社副社長、大崎真孝氏は次のように述べている。
「世界最先端のスーパーコンピュータと同じスケーラブルなアーキテクチャを採用している DRIVE PXプラットフォームでは、エンドツーエンドのディープラーニングの構築を可能します。弊社の戦略はすべてのディープラーニング開発フレームワークおよびシステムを加速させ、すべてのコンピューティングプラットフォームで1つのアーキテクチャを利用可能にすることです。そして、自動運転アプリケーションの開発をより速く、精密なものにし、安全な自動運転の実現に向けて、DRIVEPXプラットフォームが開発されたため、この度の受賞を大変嬉しく思います。」

NVIDIAのDRIVE PX2は、自動運転にとって重要な自律走行について、その複雑な制御部分を人工知能によって実現している。ハードウェアには先進のNVIDIAGPUである次世代「Tegra」プロセッサー2基と、次世代アーキテクチャの「Pascal」を採用したGPU 2基を搭載。12個のビデオ・カメラとLIDAR(Light Detection and Ranging)、レーダー、超音波センサーを処理して、車両が置かれている状況を正確に判断し、障害物などを認識しながら、安全に走行できるルートを算出する。こうした計算は1秒間に24兆回もの「ディープラーニング演算」により処理されるが、これはMacBook Pro 150台分に匹敵する処理能力だ。

またNVIDIAはディープラーニングのソリューションについて、「NVIDIA DIGITS」と DRIVE PX 2により構成されるエンドツーエンドの開発環境を用意している。「NVIDIA DIGITS」は、NVIDIA GPUベースのシステムであれば、デスクトップパソコンやワークステーションでも使うことができ、構築したディープラーニングを「NVIDIA DRIVENET」として蓄積し、その結果を車載のDRIVE PX 2で実行できます。これにより、これまで何年もの開発期間が必要だったところを、4時間もかからずに結果が得られるようになったとの評価も得ている。
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