auがフィンテックに本格参入!電気だけではなく保険や住宅ローンの顧客も狙う新サービス「auのほけん・ローン」の狙いとは?KDDIが発表会を開催【レポート】
auが保険・ローン分野に参入 |
既報通り、KDDIおよび沖縄セルラーは17日、都内にて「2016 au 新戦略説明会」を開催し、auのライフデザイン戦略による新しい金融サービス「auのほけん・ローン」を2016年4月より提携パートナー企業を通して提供開始すると発表した。
登壇したKDDI代表取締役執行役員専務の高橋誠氏は、携帯電話とさまざまなサービスをシームレスにつなぐ「au ID」のプラットフォームを活用した金融商品「auの生命ほけん」および「auの損害ほけん」、「auのローン」について説明を行った。
高橋氏は「日本人の人口は減少傾向にあるが、一方で世帯数は増加傾向にあり、auとして家族構成の多様化にあったひとり1人のライフデザインに対応する必要があることが1つの戦略だ。」として説明した。
これを「2016年=家計見直しの年」と定義し、auのモバイルと「au WALLET」によるリアルとの結びつきに加えて、1月に発表した「auでんき」と住居費、保険や医療へサービスを拡大する。
au WALLETによる決済によるポイントサービスやauでんき加入による携帯料金の割引などの循環を「au WALLET経済圏」と説明した高橋氏は、住居費や保険・医療もこの経済圏に加えることが家計見直しのひとつのポイントとなる。
そして、2016年春のau新商品としてauの生命ほけん、auの損害ほけん、auのローンの3商品を発表した。
auの生命ほけんは、スマホやタブレット、パソコン(PC)で簡単に申し込みができる点とネット生保というフィナンシャルとテクノロジー(IT)の融合による"フィンテック"のメリットを最大限に活用し、純保険料に上乗せする付加保険料を抑えることで保険の見直しを訴求する。
全国に店舗を持たないネット生保だからできる付加保険料の安さは、国内大手生保の定期保険の半額に近くなることもあるのだという。
続いて、auのローンは、フィンテックだから実現する年0.568%の変動金利全期間引き下げプランに加え、万一「がん」と診断された場合ローン残高が2分の1となる。申し込みはスマホなどから簡単に申し込みでき、書類の提出がないため最短10営業日で手続き完了となると説明した。
auの損害ほけんは、月々370円からの「au自転車向けほけん」や愛犬・愛猫のための「auペットほけん」、海外旅行のけがや病気を補償する「au海外旅行ほけん」、国内旅行での事故を補償する「au国内旅行ほけん」、「auゴルフほけん」、交通事故やけがを補償する「au傷害ほけん交通事故」、「au傷害ほけん日常の事故」を用意する。
なお、高橋氏は囲み取材において自動車に関連する損保をスタートしなかったことについて、自動車はシニア層による事故率が高まっていることで、保険料率が厳しいことを示唆し、手を付けやすい分野からスタートしたことを明かした。
高橋氏はフィンテックによるメリットをアピールする一方で、加入者は対面で話を聞いて自分にぴったりの商品か納得したいという心情も説明。これを裏付けるように生命保険の加入のほとんどが生保の営業や窓口などで、ネット生保での加入はわずか2.2%に過ぎないことを提示した。
そこで、auでは専用窓口「auフィナンシャルサポートセンター」を設立し、コールセンターによるコンサルティング体勢を構築するのだという。
さらに、auショップにKDDIの有資格者を派遣し、対面での相談も可能にする。このサービスは全国4店舗の直営店からスタートし全国のauショップへ順次展開予定であることを発表した。
フィンテック商品に対面型コンサルティングを加えることで、auならではの安心感がこれまでにない強みとなる。どのような施策になるのか具体例は出さなかったが、スマホとセットで保険やローンがお得になることをアピールした。
最後にau WALLET経済圏の拡大を多様化する家族像をもとに食品や日用品が購入できる「au WALLET Market」から電気や保険、ローンの位置づけを説明した。
携帯電話や固定電話などの通話・通信サービスから電気や銀行、保険、ローン、そして、食品や日用品などをau WALLET経済圏というポイントサービスで囲い込む戦略だが、業種を増やすほど競合も増え、さらにauショップの負荷が高まっていく問題などに今後どう対応していくのか注目して動向を見守りたいところだ。
記事執筆:mi2_303
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