小型サーバーで社会を快適に!ぷらっとホームが歩んできた「OpenBlocks」の15年


先日『ぷらっとホームよりIoT・M2Mシステムの構築に最適なオールインワンの「OpenBlocks IoT EX1」が登場』という記事でも紹介したように、ぷらっとホーム株式会社はInternet of Things(IoT:モノのインターネット)に特化したコンパクトLinuxサーバー「OpenBlocks IoT Family」の最新モデルとなる「OpenBlocks IoT EX1」を発表した。

そして2015年5月13日(水)〜15日(金)に開催されたIoT/M2M に特化したイベント「第4回IoT/M2M展」では、同社は「OpenBlocksR IoT Family」の「OpenBlocks IoT BX1」と、先述した最新モデル「OpenBlocks IoT EX1」を展示し、製品の設定用Web UIを使ったデモンストレーションを実施した。

同会場にて、ぷらっとホーム株式会社 代表取締役社長である鈴木友康氏にLinuxマイクロサーバー「OpenBlocks」開発の経緯、そして今後の展開についてお話しをうかがうことができたので紹介しよう。

編集部:マイクロサーバー「OpenBlocks」を開発した経緯からお聞かせいただけますか?

弊社は1993年の設立以来、Linuxを扱ってきましたが、その関係で自社のサーバーを1995年から出してインターネットの通信事業者様にご利用いただいていました。その流れの中で、インターネットが広まってくるということで大きなサーバーだけでなく、家庭とか、M2Mとか、コンピューターが入れないところまで通信を繋げたいというニーズがありました。

そこで、「マイクロサーバー」というものを企画して最初のモデル「OpenBlockS」を出したのが、ちょうど2000年の7月です。実は、2000年から10年くらいは、それなりに売れてはいるんですが、地味な用途で使われています。一番多いのは通信事業者様で、基本裏方の製品でした。KDDIさんを筆頭に日本の通信事業者様は、ほぼ漏れなく使っていただいていると思います。

インターネットの進化も一巡してパソコンが繋がって、スマートフォンで個人も繋がるようになって、いよいよIoTに入り、今度はモノに繋げたい、機械に繋げたいとか、この3〜4年で変わってきています。そこで急に注目されてきて、その分野に関しては今までの蓄積があったものですから、今、急激に伸びています。

編集部:どんな導入事例がありますか?

基本、裏方ではありますが、先ほど申し上げたように通信事業者様、ほぼ漏れなく使っていただいております。それだけではなく、気象予測とかですね。民間の気象情報会社様とかです。雨とか、風とか、地震とかを計測して、日本で広く展開して使っていただいています。

あとは、産業系です。工場の中に設置した機械をモニターするために使います。プローブとか、ゲートウェイとかいう言い方をしますが、機器の監視が非常に多いです。有名な自動車会社や、いろいろなオフィスで使っていただいております。

一般の家庭に近いところでは、「見守り」です。集合型のアパートや、ご老人のケアをしている会社が、温度や状態の監視に使っています。ご老人が転倒していないかだとか、それから日立システムズさんのブースに展示してありますが、薬を自動的に出すロボットがあります。服薬支援ロボと言いますが、高齢者や介護を必要とする人の薬の過剰摂取や飲み忘れ、飲み間違い、誤薬防止を遠隔でわかるようにしています。いわゆる服薬のサポートです。そういう新しい見守り、ケア系ですね。そういった生活に密着した案件がどんどん入り出しています。

ぷらっとホーム株式会代表取締役社長鈴木友康氏

ぷらっとホーム株式会代表取締役社長鈴木友康氏

編集部:御社の差別化戦略は?

大きく分けて3つあります。ひとつは製品自体の差別化です。他社では実現できないぐらいのコンパクトな形状であるとか、日本のインフラを支えている信頼できるような信頼性を提供するとか、ひとつの製品自体の価値というものがあると思うんです。

もうひとつは、会社の信頼性です。それは、なぜかというと、結局、ハードを作ると、たとえばうちの製品は通信の世界で長く使われるわけです。5年、10年使うわけですが、我々は通信事業者様にほぼ10年以上、継続してサポートを提供しているわけです。会社が存続していないとこのサポートが提供できない。そういった意味で信頼性は重要です。

そしてIoTの世界になると、オペレーティングシステムは必ずセキュアなものが出てくるので、それをちゃんとサポートし続けるというのが凄く大事ですね。それから、これは会社の信頼性の話だと思うんですが、これまで20年以上オペレーティングシステムを含めてお客様に製品のサポートし続けている会社の体質が大事だと思っています。

もうひとつの差別化というのは、最初から先行してやっているので、お客様の事例やニーズを他社よりも知っているということです。累計で約10万台を出荷しているので、その間にいろいろなお客様の使われ方に関して、様々なトラブルを経験しました。もちろん成功事例も経験しました。そして目に見えない事例ですけど、お客様が製品を使ったときに、「ああ、いいな。」と思ってくれること。細かいところまで非常にまじめに取り組んでおりますので、そうした経験に関しては、本当に自信を持って優れているところだと思います。

編集部:OpenBlocksの他社製品に対する優位性は?

優位性ですか・・・。今の話しと非常に近いんですけど、基本はお客様の活用であったり、仕事であったり、何かを支えるためのインフラがOpenBlocksであると思っています。インフラは通常、目立たなくていいですし、粛々と動き続けるというのがやるべき仕事なんですね。そこをちゃんと提供するというのが一貫した会社のカルチャーであるので、それを含んで製品だったり、サービスだったり、お客様への提案能力であったりということですね。そういう総合力によって、いまよりさらに新規開拓ができればよいと思ってます。

編集部:今回のIoT/M2M展で推したいポイントは?

「OpenBlocks IoT」というのは、これまで本当に実績のある「OpenBlocks」というシリーズをIoTに特化させて、「OpenBlocks IoT」のシリーズとして出したはじめてのショー(※)なんです。今回は、我々が今まで培ってきたソリューションであるとか、製品の特徴を、ぜひ、伝えたいと思っています。現物も持ってきていますし、経験の高いエンジニアを用意しましたので、実際にお手に取って質問とかをしていただいて、「こういうところでも使えるのか?」とか、そのまま感じていただければ、我々としては凄くハッピーです。

※:第4回IoT/M2M展のこと
                
左が「OpenBlocks IoT EX1」、右が「OpenBlocks IoT BX1」。

左が「OpenBlocks IoT EX1」、右が「OpenBlocks IoT BX1」。

編集部:最後に、今後の展望についてお聞かせいただけますか?

今年は、IoT元年と言ったほうがよい年だと思っていて、コンピューターが誕生して50年経った、そういう節目の年です。コンピューターの領域というのは、やはり広がってきていると思います。これまでの単純な計算から、アップルになってから人をサポートするように進化しましたが、今度はコンピューターがIoTを通じてモノとか生活とか環境をサポートする、そういう風になると思うんですよ。

50年経って、コンピューター自体の役割が変わってきています。そこから今まで取れなかったデータを出してもらって、機械であったら故障とかでも、なるべくスムーズに故障を解消するとか、いろいろ今までと違う次元の満足を与えることができるようになる環境がIoTで出てくると思うんです。我々はやはりそこを徹底的に支援して、その社会を実現することを、その一助になる活動をしたいと思っております。

IoTという言葉は非常に定着してきているので、ぜひ、コンピューターの役割を変えていきたいです。今までのコンピューターというのは、人間の生活を変えてきているわけですよ。いろいろなSNSで非常に身近な人とのコミュニケーションを、僕らが子供の頃とは比較にならないくらい密にとれますし、遠くにいる両親と話しをしたりできます。

やはりコンピューターというのは、それを実現するのに一役買ってきたわけですし、農作物もそうだし、社会をちょっとでもよくするために、ぜひ、新しく出てきたIoTの技術を使ってハッピーになる、それをやりたいと思っています。ひとつひとつの事例を作っていって、どんどん広めていって、我々人間が幸せな社会を作りたいと思ってます。

同社がOpenBlocksというマイクロサーバーを、様々なことに応用してきた長い歴史、そして今後、どういった方向に進みたいのかといった明確な目的を理解することができたインタビューであった。社長が言う「人間が幸せな社会」、機械やコンピューターに支配されるのではなく人間として幸せを感じる世界を、ぜひとも実現していってもらいたい。

■OpenBlocks IoT EX1
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